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谷崎 潤一郎 たにざき・じゅんいちろう(1886年7月24日 – 1965年7月30日)
小説家。明治末期から第二次世界大戦後の昭和中期まで、戦中・戦後の一時期を除き終生旺盛な執筆活動を続け、国内外でその作品の芸術性が高い評価を得た。現在においても近代日本文学を代表する小説家の一人として、評価は非常に高い。代表作に『痴人の愛』『春琴抄』『細雪』など。
おすすめ作品ランキング
長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!
- 1位:細雪
- 2位:痴人の愛
- 3位:春琴抄
刊行作品一覧リスト
※文庫を中心に手に入りやすい物だけ紹介しています。
『刺青』1911年12月
究極の美女に土下座し、踏みにじられたい。
谷崎が描くエロティシズムの極み。肌をさされてもだえる人の姿にいいしれぬ愉悦を感じる刺青師清吉が、年来の宿願であった光輝ある美女の背に蜘蛛を彫りおえた時、今度は……。
性的倒錯の世界を描き、美しいものに征服される喜び、美即ち強きものである作者独自の美の世界が顕わされた処女作「刺青」。作者唯一の告白書にして懺悔録である自伝小説「異端者の悲しみ」ほかに「少年」「秘密」など、初期の短編全七編を収める。
用語、時代背景などについての詳細な注解を付す。
- 『刺青・秘密』新潮文庫 改版 (1969/8/5)
『痴人の愛』1925年7月
独自の「悪魔主義的作風」が一気に頂点へ極まった傑作。
新聞連載されるや、巷に「ナオミズム」という言葉を流行らせた。きまじめなサラリーマンの河合譲治は、カフェでみそめて育てあげた美少女ナオミを妻にした。河合が独占していたナオミの周辺に、いつしか不良学生たちが群がる。成熟するにつれて妖艶さを増すナオミの肉体に河合は悩まされ、ついには愛欲地獄の底へと落ちていく。
性の倫理も恥じらいもない大胆な小悪魔が、生きるために身につけた超ショッキングなエロチシズムの世界。
『蓼喰ふ虫』1929年11月
谷崎のスキャンダラスな私生活を反映した問題作。
なぜ谷崎は、小説家・佐藤春夫に自分の妻を「譲った」のか?世間を驚かせた「妻譲渡事件」の真意がこの作品にある。全てにおいて完璧だと思って結婚した女なのに、なぜ妻という立場になると、欲情しなくなるのだろう……。
セックスレスが原因で不和に陥った一組の夫婦。夫・要は勝手気儘に娼婦を漁り、片や妻・美佐子は夫公認の間男・阿曾の元へと足繁く通う日々を送る。関係はもはや破綻しているのに、子供のことを考えると離婚に踏み切れない。夫婦を夫婦たらしめるものは一体何か。著者の私生活を反映した問題作。
『吉野葛』1932年2月
『春琴抄』1933年12月
『文章読本』1934年11月
正しく文学作品を鑑賞し、美しい文章を書こうと願うすべての人の必読書。文章入門としてだけでなく文豪の豊かな経験談でもある。
『武州公秘話』1935年10月
敵の首級を洗い清める美女の様子にみせられた少年。それは、武勇と残虐な行状とで世にきこえた武州公の幼き日の姿であり、その心の奥底には「被虐性的変態性慾」の妄想と恐るべき奸計の萌芽が——。戦国時代に題材をとり、奔放な着想をもりこんで描かれた伝奇ロマン。
『猫と庄造と二人のをんな』1937年7月
最上位にいるのはいつも猫「リリー」、そして女の立場は最下位で――。 「ニャア」とひと声聞くや、たちまち痴態を晒す人間の不思議。
一匹の猫を中心に、猫を溺愛している愚昧な男、猫に嫉妬し、追い出そうとする女、男への未練から猫を引取って男の心をつなぎとめようとする女の、三者三様の痴態を描く。人間の心に宿る“隷属”への希求を反時代的なヴィジョンとして語り続けた著者が、この作品では、その“隷属”が拒否され、人間が猫のために破滅してゆく姿をのびのびと捉え、ほとんど諷刺画に仕立て上げている。
『潤一郎訳源氏物語』1939年1月~1941年7月
- 『潤一郎訳源氏物語』中公文庫、全
『陰翳礼讃』1939年12月
文豪が自身の美意識と創作術の核心を余さず綴る二大随筆が初の合本化。解説・筒井康隆。
まあどう云う工合になるか、試しに電燈を消してみることだ。蒔絵、金襴の袈裟、厠……。庇下に広がる闇に、独自の美を育んだ日本文化の豊穣(「陰翳礼讃」)。
文章に実用的と芸術的との区別はない……。古典と当代の名文家たちの一言一句に学び、含蓄ある日本語を書く心得を説く(「文章読本」)。
文豪の美意識と創作術の核心を余さず綴る、名随筆を集成。
- 『陰翳礼讃』角川ソフィア文庫 (2014/9/25)
- 『陰翳礼讃・文章読本』新潮文庫 (2016/7/28)
- 『陰翳礼讃 吉野葛』ディスカヴァー・トゥエンティワン(2016/10/22)
- 『陰翳礼讃』パイインターナショナル (2018/1/18)
『細雪』1944年7月~1948年12月
大阪船場に古いのれんを誇る蒔岡家の四人姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子が織りなす人間模様のなかに、昭和十年代の関西の上流社会の生活のありさまを四季折々に描き込んだ絢爛たる小説絵巻。三女の雪子は姉妹のうちで一番の美人なのだが、縁談がまとまらず、三十をすぎていまだに独身でいる。幸子夫婦は心配して奔走するが、無口な雪子はどの男にも賛成せず、月日がたってゆく。
『少将滋幹の母』1950年8月
平安の世に、女性美に魅入られた漁色家たちの妄執、
肉体の無常、母への慕情が、交錯する艶めかしき物語。作者64歳の作。「この引出物はたしかに頂戴しましたぞ」。甥の左大臣への貢物として、美しい若妻を捧げた老大納言、生涯の悔恨。そして、とり残された幼な子の尽きることのない母恋い。時の左大臣に奪われた、帥の大納言の北の方は絶世の美女。残された子供・滋幹の母に対する追慕に焦点をあててくり広げられる絵巻物。『今昔物語』などに材を取った。
『鍵』1956年12月
老夫婦の閨房日記を交互に示す手法で性の深奥を描く「鍵」。
老残の身でなおも息子の妻の媚態に惑う「瘋癲老人日記」。晩年の二傑作。「夫は蛍光燈の光の下で、私の体のデテイルを仔細に点撿(てんけん)する……」
日記の秘密を妻に盗み読みさせる。性の衰えに焦る初老の夫の思惑は、年下妻の淫蕩を目覚めさせるか(『鍵』)。美しい嫁にひざまずく歓喜を切望した、資産家老人のにぎやかな晩年(『瘋癲老人日記』)。
喪われゆく性を嘆いてなお、その夢に執着する老人たち。人生の終局に妖しく蠢く男の欲望を描く、大谷崎の真骨頂。
『夢の浮橋』1960年2月
若くして死んだ母そっくりの継母。主人公は継母へのあこがれと生母への思慕から、二人の存在を意識のなかでしだいに混乱させてゆく。谷崎文学における母恋物語の白眉。ほかに晩年のエッセイ四篇を収載。
『谷崎潤一郎随筆集』1985年8月
『潤一郎ラビリンス』1998年5月
- 全16巻
『谷崎潤一郎犯罪小説集』2007年12月
仏陀の死せる夜、デイアナの死する時、ネプチューンの北に一片の鱗あり……。偶然手にした不思議な暗号文を解読した園村。殺人事件が必ず起こると、彼は友人・高橋に断言する。そして、その現場に立ち会おうと誘うのだが……。懐かしき大正の東京を舞台に、禍々しき精神の歪みを描き出した「白昼鬼語」など、日本における犯罪小説の原点となる、知る人ぞ知る秀作4編を収録。
- 柳湯の事件
- 途上
- 私
- 白昼鬼語
『谷崎潤一郎マゾヒズム小説集』2010年9月
エスカレートする遊びの中で、少年と少女が禁じられた快楽に目覚めていく「少年」、女に馬鹿にされ、はずかしめられることに愉悦を感じる男を描く「幇間」、関東大震災時の横浜を舞台に、三人の男が一人のロシア人女に群がり、弄ばれ堕ちていく「一と房の髪」など、時代を超えてなお色鮮やかな、谷崎文学の真髄であるマゾヒズム小説の名作6篇。この世界を知ってしまったら、元の自分には戻れない。
- 少年
- 幇間
- 麒麟
- 魔術師
- 一と房の髪
- 日本に於けるクリップン事件
『谷崎潤一郎フェティシズム小説集』2012年9月
本当のいけないことを また教えてあげる
谷崎文学の名作の中から、人間の心に潜む密やかで妖しい欲望を浮かび上がらせる作品を一冊に。
- 刺青
- 悪魔
- 憎念
- 富美子の足
- 青い花
- 蘿洞先生
『谷崎潤一郎対談集 藝能編』2014年9月
お気に入りの女優たちと、また友人たちと、文学・映画・演劇・歌舞伎や着物について闊達にかたりあった三十本。文豪初の対談集。
『谷崎潤一郎対談集 文藝編』2015年3月
永井荷風、吉井勇、里見弴、志賀直哉、川端康成ら、文学者仲間と心おきなく語り合う、青春、文学、映画や歌舞伎、そして女のこと。