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ふらんす物語(永井荷風)の作品情報
- タイトル
- ふらんす物語
- 著者
- 永井荷風
- 形式
- 紀行文、小説
- ジャンル
- フランス
- 執筆国
- 日本
- 版元
- 近代文学館
- 執筆年
- 1908年
- 初出
- 1908年
- 刊行情報
- 近代文学館、1968年
ふらんす物語(永井荷風)のあらすじ・概要
作者
永井 荷風(1879年12月3日 – 1959年4月30日)
小説家。東京都文京区出身。高商付属外国語学校清語科中退。広津柳浪・福地源一郎に弟子入りし、ゾラに心酔して『地獄の花』などを著す。1903年より1908年まで外遊。帰国して『あめりか物語』『ふらんす物語』(発禁)を発表し、文名を高める。1910年、慶応大学教授となり「三田文学」を創刊。その一方、花柳界に入りびたって『腕くらべ』『つゆのあとさき』『濹東綺譚』などを著す。1952年、文化勲章受章。1917年から没年までの日記『断腸亭日乗』がある。
ふらんす物語(永井荷風)の刊行情報
ふらんす物語(永井荷風)の感想・解説・評価
#永井荷風「#ふらんす物語」#読了
— 右手@文学&漫画ブロガー (@migite1924) 2019年9月27日
フランス滞在中に書いた小説や紀行文をまとめた作品集。
とにかく権力嫌いでフランスびいきなので、「フランス最高‼️日本はクソ‼️」みたいな雰囲気が漂う本ですね。
旅行先の描写は素晴らしいので、日仏を比較しているところは「元気だなー」なんて読むのがいいのかも pic.twitter.com/up1KMemqCf
あこがれのフランスに滞在した荷風の作品集
永井荷風は24歳から5年弱欧米に渡り、銀行マンとして働いた。ただ、最初に訪れたアメリカ・ニューヨークでの生活と銀行勤めは肌に合わなかったようだ。その生活の間にフランスへの憧れはどんどん募っていき、父の協力もあり、同じ横浜正金銀行のリヨン支店に異動することが決定。憧れのフランスの地を踏むことになる。
渡仏後も銀行務めは合わなかったようで、荷風は結局8か月で退職してしまう。退職後はパリに2か月滞在したのち帰国。本作は、10か月のフランス滞在中に書き溜めた紀行文、短編小説、漫録からなる作品集だ。
発禁処分になり60年間封印された「風俗紊乱の書」
とにかく読んでて伝わってくるのは「荷風のフランス好き」ということだ。「憧れ」と書いたが、盲目的・フランス至上主義者と言ってもいいくらいのフランス狂いなのだ。
権力嫌いで反骨精神に満ちた荷風は、明治政府や日露戦争の“戦勝”気分に沸く当時の雰囲気が大嫌いだったらしく、とにかく日本を下げフランスを上げる書き方をしている。本書は「風俗を乱す」との理由で発売が禁止され、当初の予定から60年後ようやく発売された。たしかにフランスの娼婦の話なども書かれているが、そのことより日本を下げた書き方をしているのが問題視されたのだろう。永井荷風の女好き、オペラ好き、フランス好きな一面を知るには充分な一冊だ。
憧れの地フランスを旅して歩いた荷風
荷風がフランスでの生活を始めたのは、嫌々ながらアメリカでの銀行勤めを4年続けた後のことだった。そのせいもあってか、とにかく到着時の感激は大きかったようだ。
「フランス!ああフランス!!」
岩波文庫より
「ああ!パリ―!自分は如何なる感に打たれたであろうか!」
なんせ船の上からフランスの街並みを見ただけで、「ニューヨークの屋根の四角い建物ばかり見ていたからフランスの人家は自然で美しい」などと思うほどだ。そんな憧れの土地を荷風は短い滞在期間の中で旅している。
フランスの風土気候を論じた「秋のちまた」や、文豪たちが眠る墓地巡りを描いた「墓詣」、リヨン郊外の秀逸な描写が印象的な「蛇つかい」など、フランスのガイドブックのような一面を持っている。特にパリは、街々の名所旧跡・歴史・由緒を紹介しており、お気に入りだった。
全体を通して感じるのは「フランスって素晴らしいよね。日本はクソだけど」という当時の荷風の心境だ。紀行文の中で、フランスは良いところばかりが書いてあるが、日本は嫌なところばかりが書いてある。「フランスって素晴らしいよね」で終わらずに、「日本はクソだけど」と付け足しているあたりに好みが分かれるだろうが、それだけに率直な感情がおもしろくもあり、なんだか悲しくもなる本だ。
合わせて読みたい本
あめりか物語
フランス滞在前に、若き永井荷風が4年間を過ごしたアメリカ滞在を素材にした短編集です。小説とも随筆とも言えない文章が綴られています。
「ふらんす物語」の序曲だという人もいますし、斬新で瑞々しい作品だという人もいれば、未熟な習作であるという人もいます。そのどちらにせよ、本作がなければ「ふらんす物語」もなかったのではないでしょうか。その意味で荷風の中でも重要な位置を占める作品だと思っています。
荷風がアメリカの生活の中で親しんだというオペラやフランス文学、白人女性との交際などにも触れつつ、日米の違い、格差、人種など現代にも通じるテーマを論じています。「ふらんす物語」との比較もいいですし、英国留学で神経衰弱に陥った漱石との比較もおもしろいと思います。
ふらんす物語(永井荷風)の評判・口コミ・レビュー
永井荷風『ふらんす物語』読了。「蛇つかい」「祭の夜がたり」「霧の夜」「おもかげ」「雲」が特に良かった。『腕くらべ』の古風な江戸趣味の荷風から考えると、意外な程しっかりめのフランスかぶれに思えて面白かった。至る所でボードレールに触れていて、荷風も強い関心を持っていたんだなと思った。
— Akira O. (@aki555sr4h) 2019年2月8日
『ふらんす物語』
— しゃにむ (@hobitman1994) 2019年5月2日
永井荷風/岩波文庫
随筆。病める華。退屈しのぎに訪れてみればどうしたことか。日がな一日退屈に怯えている。街に恋をしに行けば永遠を感じない虚無の虜。若者はめいめい持ち時間を青春をどぶに捨てる。その退屈が青春だったりする。そもそも人生は壮大な暇潰しだったりする。#読了 pic.twitter.com/bDIYfwTokO
永井荷風著『ふらんす物語』読了。★★☆☆☆
— 国鉄マヤ34形客車 (@pudding_anne) 2019年5月30日
先にこっちを読んじゃうという。だって、フランスの記憶が新しいうちにこういうものに触れておきたいんだもん。初っ端からサン・ラザール駅が出てきて私は荷風と同じ所を歩いたのかと身震いしたよ。モーパッサン先生に対する感情に共感! 原文で読むべき!
ふらんす物語
— しゃにむ (@hobitman1994) 2017年10月26日
永井荷風の連作。甘く恋い焦がれたフランスで過ごした日々を若い文学青年の目線で綴る。響きだけでも陶酔するこの国は夢想だけに飽き足らず世界中の人間を引き寄せ永遠の虜にする。花の蜜に惹かれる蜂の様に快楽に溺れ感傷的に狂う愉悦。地上に咲いた華の都、永遠の青春の日々。#読了
永井荷風「ふらんす物語」読了。
— 君は素敵 (@zensekaisyouaku) 2016年3月24日
これが反自然主義文学の濫觴かと思えば感慨深いが洒落た文体、雰囲気に圧倒されなるほど納得。
『風俗ヲ壊乱』なんて政府が憧憬畏敬の念が高まるのを恐れ発禁処分を下すのも一理ある。
人を魅了させる一冊であった。
ごちそうさま。#耽美派と繋がりたい