【読書感想文】ぼくは勉強ができない(山田詠美)のあらすじ(ネタバレなし)・感想

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勉強よりも、もっと素敵で大切なことがあると思うんだ。退屈な大人になんてなりたくない。17歳の秀美くんが元気潑剌な高校生小説。

ぼくは勉強ができない(山田詠美)の作品情報

タイトル
ぼくは勉強ができない
著者
山田詠美
形式
小説
ジャンル
高校生
青春
執筆国
日本
版元
新潮社
初出
不明
刊行情報
新潮文庫

ぼくは勉強ができない(山田詠美)のあらすじ・概要

「健全な肉体に健全な精神が宿ると思う?」「健全って、いったい、なんなんだよ」。なんか、上手く言えないんだけど、窮屈なんだ。自由にしてるんだけど、居心地悪いんだ…。君の小さな苛立ち、やり場のない怒りを晴らしてくれる、お待ちかねの高校小説。

作者

山田 詠美(1959年2月8日 – )

小説家、漫画家。東京都板橋区出身。明治大学文学部日本文学科中退。漫研OBのいしかわじゅんががきっかけで、『漫画エロジェニカ』にて山田双葉名義で漫画家としてデビュー。1985年には『ベッドタイムアイズ』で文藝賞を受賞しデビュー、芥川賞の候補となる。1987年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞を受賞。

ぼくは勉強ができない(山田詠美)の刊行情報

ぼくは勉強ができない(山田詠美)の登場人物

時田秀美
主人公。17歳。男子高校生。ませている。年上の桃子さんと交際している。

桃子
ショット・バーで働いている。秀美と交際中。

ぼくは勉強ができない(山田詠美)の感想・解説・評価

「なんで勉強しなきゃならないんだよ」と考える”ませた”秀美君を主人公とする青春小説

「なんで勉強しなきゃならないんだよ」という、ある意味反抗的ともいえる疑問は誰もが一度は考えたことがあるだろう。僕もそうだ。本作の主人公である秀美くんも例外ではない。秀美くんは不良なんかではない。それでも、勉強に対しては関心が持てず、年上の桃子さんと熱愛中なんてませた一面をもっている。

秀美くんに限らず、本作の登場人物は「ませている」者が多い。大人びているけれど、大人に早く近づこうとして、逆に子どもっぽさが出てしまっていたりする。それが「ませている」ように見えてしまうのだ。

その点を逆手にとって、自分を「少しぬけている」ように他人に見せ、かわいく装っている子もいる。でも秀美くんは、そんな彼女の演技を見破ってしまうのだ。

大人びてはいるけれど不器用な秀美くんを主人公に思春期特有の悩みを描く

とはいえ、秀美くんも17歳。他の登場人物と同じように、まだまだ大人にはなりきっていない。秀美くんが周囲の同級生と接するとき、どことなく不器用なコミュニケーションになってしまったりもする。

本作には、教育、恋愛、性、思春期特有の悩みなどの問題が多数描かれている。秀美くんのように大人びていなくても、年上の女性と付き合ったことがなくても、読了後には何かしら感じるものがある。

本を閉じた後も2,3日はいろいろと考えてしまうだろう。あなたが、中学生、高校生であるならば2,3日ではすまないと思う。秀美くんをはじめとする登場人物たちの考えに影響を受けるだろう。そんな内面の描写に優れた作品である。

なぜ死ぬのか、なぜ生きるのか、なぜ勉強をしなければいけないのか。そんな問題に答えをだすのはとても難しい。誰しも一度は考えたことのある問題だが、答えを出せた人は少ないだろう。「そんなことを考えるのは意味のないことだ」という考えもある。

でもこの小説を読むと、思わずそんなことを考えてしまうのだ。しかも無理に押し付けるようではなく、自然に心の中に入ってくる。きっとその辺りにこの小説の良さがあると思う。

この作品が発表されてから、もうすこしで30年だ。しかし古さなどまったくない。17歳の秀美くんもいまや40代の中年になっているはずだが、そんなことは全く想像できないのだ。きっと秀美くんはいまでも17歳なのだと思う。

ぼくは勉強ができない(山田詠美)の評判・口コミ・レビュー

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