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ロベルト・ボラーニョ・アバロス Roberto Bolaño Ávalos(1953年4月28日 – 2003年7月15日)
チリの小説家、詩人。チリのサンティアゴ出身。1996年、セイス・バラル社から実験的な中編小説『アメリカ大陸のナチ文学』を出版。1998年、長編小説『野生の探偵たち』がロムロ・ガジェーゴス賞を受賞。2003年7月、肝不全のため50歳で死去した。死後出版された『2666』の英訳版で全米批評家協会賞を受賞した。代表作として『通話』『野生の探偵たち』『2666』がある。
おすすめ作品ランキング
長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!
- 1位:2666
- 2位:野生の探偵たち
- 3位:アメリカ大陸のナチ文学
作品一覧リスト
Consejos de un discípulo de Morrison a un fanático de Joyce(1984年)
La senda de los elefantes(1984年)『ムッシュー・パン』Monsieur Pain(1999年)
ボラーニョが愛した初期の中篇
https://www.hakusuisha.co.jp/book/b269905.html
1938年春、パリの病院で死の床につく貧しい南米人のしゃっくりを治してほしいという依頼がピエール・パンの元に持ち込まれる。第一次世界大戦の帰還兵でメスメリスムの信奉者であるパンは施術を行ない、再度患者の病室を訪ねようとするが、謎のスペイン人の2人組にことごとく阻まれ、面会は叶わない……
隣国スペインで勃発した内戦の影、忍び寄る第二次世界大戦の気配、キュリー夫人の研究所といった同時代の社会背景が、作中に漂う不穏な空気を映し出す。巻末には『アメリカ大陸のナチ文学』を彷彿とさせる登場人物一覧と略歴を記したエピローグを収録。彼らの思いがけない人生の後日譚を読者は知ることになる。
「作者による覚書」によると、当初『象の道』と題してスペインの地方文学賞に応募し、書籍化にあたり改稿、『ムッシュー・パン』と改題された本書は、ボラーニョにとって愛着を覚える一冊だったという。ちなみにこの「南米人」はペルー生まれの前衛詩人セサル・バジェホ(1892-1938)。本書はパリで客死したこの詩人に捧げるオマージュとして書かれた。元来詩人として出発したボラーニョの新たな魅力を知ることのできる初期の中篇小説。
La pista de hielo(1993年)
『アメリカ大陸のナチ文学』La literatura nazi en América(1996年)
極右の人種主義者、狂信的なファシストたちの奇妙な文学的営為。存在しない文学の存在しない作者たちの人生と作品に捧げられた、おぞましくもどこか切なく滑稽な「悪党列伝」。初期を代表する傑作。
『はるかな星』Estrella distante(1996年)
ボラーニョ文学の結節点となる初期の重要作
軍政下のチリ、奇抜な空中詩パフォーマンスでその名を馳せた飛行詩人カルロス・ビーダー。複数の名をもつ彼の驚くべき生涯とは――。『アメリカ大陸のナチ文学』から飛び出したもうひとつの戦慄の物語。
https://www.hakusuisha.co.jp/book/b210724.html
『通話』Llamadas telefónicas(1997年)
亡命作家との奇妙な友情、刑事たちの対話、ポルノ女優の独白、ある米国人女性の半生……名もなき彼らの「声」に耳を傾ける14の物語。短篇の名手でもあったボラーニョの戦慄の第一短篇集。
『野生の探偵たち』Los detectives salvajes(1998年)
旅する詩人たちが描く文学の地図
謎の女流詩人の行方を探してメキシコ北部の砂漠に向かった二人の若き詩人。その足取りを証言する、五十余名の人物の声。チリの鬼才による、初の長編にして最高傑作。
没後ますます国際的評価の高まるチリの鬼才による、半自伝的傑作小説。
https://www.hakusuisha.co.jp/book/b206354.html
一九七五年の大晦日、前衛詩グループを率いる若い詩人アルトゥーロ・ベラーノと盟友ウリセス・リマは、一九二〇年代に実在したとされる謎の女流詩人セサレア・ティナヘーロの足跡を辿ってメキシコ北部の砂漠地帯に旅立つ。だが、ある事件をきっかけに二人は世界各地を放浪することに。そのおよそ二十年間の旅の行方が、詩人志望の少年の日記(第Ⅰ部・第Ⅲ部)と、二人を知る人々へのインタビュー(第Ⅱ部)によってモザイクのように浮かび上がる。
二人の主人公の言動は、実在・架空のさまざまな証言者から断片的かつ間接的に伝えられるのみ。短編集『通話』でおなじみの人物も登場し、読者は姿の見えないインタビュアーとともに彼らの声に耳を傾け、二人の足取りを探る「探偵」さながらの行為を追体験する。
ラテンアメリカのみならず世界のさまざまな文学への偏愛と、自身も詩人として出発したボラーニョによる同世代の詩人たちへのオマージュが、本書の随所で捧げられている。独特の斜に構えた世界観と、全編を貫く強烈な皮肉とユーモアに、作家の真骨頂がある。
Amuleto(1999年)
『チリ夜想曲』Nocturno de Chile(2000年)
死の床で神父の脳裏に去来する青春の日々、文学の師との出会い、動乱の祖国チリ、軍政下の記憶……後期を代表する戦慄の中篇小説。
『売女の人殺し』Putas asesinas(2001年)
恐怖と悪夢、その背後にある笑いと底知れぬ悲哀。ボラーニョの分身とされるおなじみ〈B〉やアルトゥーロ・ベラーノらがふたたび登場する13篇。貴重な自伝的エピソードも含む、生前最後の短篇集。
Amberes(2002年)
Una novelita lumpen(2002年)
『鼻持ちならないガウチョ』El gaucho insufrible(2003年)
カフカやボルヘスへのオマージュを込めた五つの短篇、文学についての驚くべき知性とユーモアが発揮された二つの講演原稿を収録。没年に刊行された、ボラーニョ最後の短篇集。
『2666』2666(2004年)
文学の新たな地平を切り拓く、遺作にして最高傑作──
二〇〇三年、チリ出身の作家ロベルト・ボラーニョは、世界的に名声が高まるなか、五十歳の若さで死去した。遺作となった本書は、作家の文学的遺書ともいえる傑出した作品である。
全五部からなる本書は、謎のドイツ人作家アルチンボルディの作品に魅せられた四人の研究者の物語から始まる。彼らはある目撃情報を頼りに作家の足跡を辿り、メキシコ北部の街サンタテレサに向かうが、そこでチリ人哲学教授アマルフィターノに出会う。数年後、ボクシングの試合を取材するためこの地を訪れたアフリカ系アメリカ人記者フェイトは、国境地帯で頻発する女性連続殺人事件のことを偶然耳にする。一九九三年から続くとされる事件の多くは迷宮入りとなっていた。そして最後に、作家の知られざる人生と、彼がメキシコに赴いた理由が、想像を絶するスケールで明かされる……。
あたかもアルチンボルドのだまし絵のように、大小さまざまな物語がちりばめられながら最後に驚くべき全体像が浮かび上がる仕掛け、第二次世界大戦を含むおよそ一世紀にわたる悪と暴力の歴史を織り込みながら、今なお続くメキシコ北部での女性連続殺人事件というアクチュアルな問題をあぶり出す本書は、まさにボラーニョ文学の集大成である。本書によって世界文学の地図は大きく塗りかえられるに違いない。
Diario de bar(2006年)
El secreto del mal(2007年)
『第三帝国』El Tercer Reich(2010年)
作家の遺稿から発見された異色の長篇
『2666』の世界を先取りする初期の重要作戦争ゲーム〈第三帝国〉のドイツ・チャンピオンがカタルーニャの海岸で過ごす奇妙な休暇。
現実と虚構の狭間で、次第に得体の知れない恐怖にとらわれ、追い詰められていく……