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時代を越えて受け継がれる、日本の名作文学、傑作小説を紹介します。
今回の記事では第二次世界大戦、太平洋戦争の終結直後に書かれた作品を選びました。
未だ戦争の傷跡が残り、混乱の最中にあった時代の小説です。戦争によって一度中断してしまった感のある日本文学が、戦後の廃墟の中からどう立ち上がり、復興してきたのか。今回の記事の小説を読めばその一端が見られるのではないでしょうか。
日本のおすすめ戦後小説・文学10選
三島由紀夫『金閣寺』
【新装版、新・三島由紀夫】
金閣を焼かなければならぬ――。破滅に至る青年の「告白」。
最も読まれている三島作品。国際的評価も高い。〔新解説〕恩田陸
「美は……美的なものはもう僕にとっては怨敵なんだ」。吃音と醜い外貌に悩む学僧・溝口にとって、金閣は世界を超脱した美そのものだった。ならばなぜ、彼は憧れを焼いたのか? 現実の金閣放火事件に材を取り、31歳の三島が自らの内面全てを託した不朽の名作。血と炎のイメージで描く〈現象の否定とイデアの肯定〉──三島文学を貫く最大の原理がここにある。
#読了
— まのしおん (@letsswimupwards) January 20, 2022
金閣寺📖三島由紀夫
冒頭わずか2ページでとんでもないもの読み始めちゃったなと
言葉の魔術師のような手腕は文才という概念すら既に超えている(同じ国語教育受けているのに)
難解ではなく単なる美文とも違う、類いまれな文章で綴られる金閣寺放火犯の独白手記
🔥青年僧が主役か、文が主役か pic.twitter.com/3G2cI7XHlK
主人公の溝口は金閣寺への幻影によって人生から隔てられてしまう。この認識を打破するためには金閣寺を燃やすという行為しかなかった。三島は自己の美に対する思いをこの作品を通して描いています。
— がんちゃん@botanical life (@botanical1015) October 21, 2022
水上勉は事件として「金閣炎上」と物語として「五番町夕霧楼」を書いてます#読了 #三島由紀夫 pic.twitter.com/6nrzkYEaOB
三島由紀夫、金閣寺の解説
— 花🌼読書📚 (@yumejanai8823) October 18, 2022
「人は社会から疎外されていると感じた時、自分の心を支える存在を求めます。この小説における金閣寺という存在を、そのまま京都に実存するの金閣寺と読むと飛躍が理解しにくい」
心の支えは美化するものより、思い出すたび温かくなる存在がいいな。#読了 pic.twitter.com/N6uBcMLKi7
福永武彦『死の島』
冬の朝、薄気味の悪い夢からさめた相馬鼎は創作ノートを繰りながら机の上に掛けられた絵を眺める。彼は300日前に展覧会場でみたその「島」という作品にひきつけられ、作者の萌木素子を尋ねる。暗い蔭をたたえた被爆者の彼女は、あどけなく美しい年上の相見綾子と二人で住んでいる。相馬が勤務先の出版社について間もなく、広島の病院から二人が心中したという報せをうける……。
死の島/福永武彦#読了
— しまねこ (@shima_neko_13) November 2, 2021
確実に人生ベスト5に入ります。
芸術的な構成や美しい叙情的な文章に最初は読んでしまうのが勿体ないと思っていたのですが、気が付けば徐々に飲み込まれそうになる自分にブレーキをかけながら読み進めていました。
魂が揺さぶられる以上に抉られてしまった… pic.twitter.com/zxoFtfqOQD
『死の島(上)』福永武彦 #読了
— 依 (@mos___night) April 25, 2021
彼の見た夢の景色と、彼女の見た現実の景色が交錯する。泥のようにまとわりついて離れない感情。苛立たしげな、絶望的な、魂の病気。交響曲的手法、なるほど。この作品自体も、作品の中の小説も、創作は全て私小説なんだと思う。絶望の究極愛! pic.twitter.com/yVNHTNghLz
『死の島』/福永武彦
— かみつれ (@c7_7188) February 14, 2022
過去も現在であり、未来も現在である。過去に彩りを感じることができなければ現在に光は見出だせない。
死に捕らえられた人間はずっと死しか見えない。
自分の愛じゃ救えないけど、でも人からの愛なら。
僕は何も要らないから清廉でありたい。#読了#読書好きと繋がりたい pic.twitter.com/4jvEQwosse
埴谷雄高『死霊』
晩夏酷暑の或る日、郊外の風癲病院の門をひとりの青年がくぐる。青年の名は三輪与志、当病院の若き精神病医と自己意識の飛躍をめぐって議論になり、真向う対立する。三輪与志の渇し求める<虚体>とは何か。三輪家4兄弟がそれぞれのめざす窮極の<革命>を語る『死霊』の世界。全宇宙における<存在>の秘密を生涯かけて追究した傑作。序曲にあたる1章から3章までを収録。日本文学大賞受賞。
埴谷雄高『死霊I』。大きな謎かけを試されているような気分になる、物語の三章まで。人物たちの思索が滔々と語られる。結論を出す気があるのか疑われるほど止め処なく繰り出される議論。独り、現実世界を逞しく生きる津田夫人が妙に印象的。#読了 pic.twitter.com/Sb74xbHpUZ
— pokako (@pokakopokako) August 16, 2022
埴谷雄高『死霊』読了。
— ヤマニシ (@bkbkbook29) May 13, 2020
時空を越えた思想バトルが本書の精髄ではあるが、それ以前に「小説」として抜群におもしろい。登場人物の魅力と濃密な描写に惹き付けられて、難解で破綻した構成ながらもぐんぐん読めてしまう。
『死霊』を読んで思想(深い/浅い)の話しかしない人とは友達になれる気がしない。 pic.twitter.com/J4V4AM8UuX
#読了 埴谷雄高『死霊 I』(講談社文芸文庫)
— ポレポレ (@k_21qp5) January 20, 2021
濃密な描写の下に展開されるストーリーと思索。小説中に思索が登場するというより、思索が小説の形態をとったよう。
登場人物たちの話す事や考える事がさっぱりわからず眠くなるが、どんどん読み進めてしまう魔力じみた面白さ。ヤバい本だ。 pic.twitter.com/f6U5fZIOqb
藤枝静男『欣求浄土』
緊張した透明度の高い硬質な文体。鋭角的に切り抉られた精神の軌跡。人間の底深い生の根源を鋭く問い続ける藤枝静男の名篇「欣求浄土」「一家団欒」を含む『欣求浄土』、藤枝文学の極北と称賛された感動の名作、野間文芸賞受賞の『悲しいだけ』を併録。
昨日藤枝静男「欣求浄土」読了。生きずまるような自己凝視&自己投影の最後の章が、あんな手放しの「回帰願望」とは驚きだった。しかも後書きによれば最終章を最初に書いたとのこと。自己凝視の果ての自己放下。「私小説の極北」というネーミングに引き気味の人も最終章だけでも読む価値あり。 pic.twitter.com/6H2bBjGVMl
— sbkivi (@sbkivi1) September 28, 2018
藤枝静男の『悲しいだけ/欣求浄土』(講談社文芸文庫)、「欣求浄土」を読了。「田紳有楽」とは対照的な作品ではあるけれど、通底するものはやはり同じだと思う。死を見つめ、その先にある何かをも見通そうとしているような。悲しいのにどこかじわりとくる温かさ。かちっとしたこの文体が好き。
— imany (@Entbergen0426) January 22, 2012
藤枝静男『悲しいだけ 欣求浄土』(講談社文芸文庫)「欣求浄土」読了。“私”が生き、そして死ぬ…。不思議な小説だが肌に合う(その不思議さ)。関係無いけど、親はこういう小説を読まずに、今のベストセラーを読めと言うのだが…。
— 常陸介 (@chichan22840409) September 21, 2012
大岡昇平『俘虜記』
日本人はいまも敗者として、生かされ続けているのかもしれない。
2019年は大岡昇平、生誕110年。今読みたい戦中戦後文学の傑作。
一等兵として太平洋戦争に従軍した著者の体験に基づく連作小説。フィリピン・ミンドロ島への米軍上陸から復員までの約一年間を描く。なぜ自分は米兵を殺さなかったかという感情を異常なほどに平静かつ精密に分析した「捉まるまで」と、俘虜収容所を戦後日本の縮図と見た文明批評の続編からなる。
孤独という真空状態での人間のエゴティスムを明晰な文体で凝視し、戦争小説とは一線を画する。
俘虜記 / 大岡昇平
— watao (@watao94913060) August 15, 2022
自身が経験した大戦中の捕虜生活を描いた長編。この作品は、戦争体験を媒介に、大岡昇平という超一級の心理小説家が誕生する過程を捉えた記録と思う。
モーリアックのフランスの叢林が、ここでは炎夏のフィリピンの捕虜収容所に変わるが、作品の醸す空気はとても似ている。#読了 pic.twitter.com/imzUnnEVeh
大岡昇平「俘虜記」(新潮文庫) #読了
— tanakamakoto (@nanioko) November 27, 2021
太平洋戦争末期にフィリピンのミンドロ島で米軍の捕虜になった著者が戦後に綴った記録文学。
真面目な気持ちで「読まなければいけない本」として手にとったけれど、読むほどに引き込まれる面白い読み物だった。
日本人というものが露わにされている。 pic.twitter.com/CnsSJq5OKJ
大岡昇平「俘虜記」読了。
— 旅するバスケットマン/Trip Basketballer (@tripbballer) April 16, 2022
捕えられ何もできない収容所の生活をこれほど克明に記録し、自身の葛藤を冷静に書けることにただただ敬服。「或る日本人は良く、或る日本人は悪い」と比島人が著者に話した場面が心に刺さる。今の僕は正義や悪行を狭い視野で判断していないだろうか?
椎名麟三『深夜の酒宴』
なぜ人間は生きねばならないのか――?
戦後文学のカリスマ椎名麟三の代表的2篇!焼け残った運河沿いの倉庫を改造したアパートに蠢く住民達。瀕死の喘息患者、栄養失調の少年、売春婦の救いのない生態を虚無的な乾いた文体で描き、「重い」「堪える」の流行語と共に作家椎名麟三の登場を鮮烈に印象づけた「深夜の酒宴」。電車の運転の仕事を熱愛する平凡な男が現実の重さに躓きつつ生き抜く様を特異なユーモアで描く「美しい女」(芸術選奨)。戦後の社会にカリスマ的光芒を放った椎名文学の代表作2篇。
椎名麟三『深夜の酒宴・美しい女』読了。
— 風音 (@kazaneyume) October 13, 2016
人間は自分の運命から逃れることが出来ず、艱難辛苦に堪えて生きる。しかも人生に期待すると絶望する。愛、幸福は観念であり絶対ではない。平凡な人生に「堪える」ことが幸福への近道なのだ。内容は重たいですが、文章は読みやすく ユーモアがあります。 pic.twitter.com/p2vj38MsK2
椎名麟三「深夜の酒宴/美しい女」戦前戦後の陰鬱な世界を生きていく人々の姿を追う短編2作。常に淀んだ絶望と虚無が流れ、それに呑み込まれる者もいながら、その中においても主人公を何かが生かす。特に後者の平凡への執着が印象的で、薄暗く蟠りながら確実に溢れる奇妙な生命力の存在に皮膚が揺れる。 pic.twitter.com/HlN6ieBGvZ
— ゼロモチベーション済藤鉄腸 (Tettyo Saito) (@GregariousGoGo) December 26, 2020
椎名麟三集 「深夜の酒宴」完読。
— sasasa (@bluesky_blue) November 15, 2020
全体的に重たい感じ。
かつて共産党員であった主人公が戦後の混乱の中で、飢えと絶望感の中で過ごしていくというお話。
「共産党」や「社会主義」が物語の中に多く出てくるのは、かつて作者の椎名麟三自身が共産党員だったこともあるのだろう。
安部公房『壁―S・カルマ氏の犯罪』
自分と他人が、もう一つ別の自分、別の他人に変容する。
カフカ以上にカフカ的なグロテスクな世界――。
ある朝、突然自分の名前を喪失してしまった男。以来彼は慣習に塗り固められた現実での存在権を失った。自らの帰属すべき場所を持たぬ彼の眼には、現実が奇怪な不条理の塊とうつる。他人との接触に支障を来たし、マネキン人形やラクダに奇妙な愛情を抱く。そして……。
独特の寓意とユーモアで、孤独な人間の実存的体験を描き、その底に価値逆転の方向を探った芥川賞受賞の野心作。
安部公房の『壁』を読了。「Sカルマ氏の犯罪」を含む作品集。
— 荒山螢火 (@arayama_3) January 21, 2022
今更ながら初めての安部公房。意外と読むことはできた。が、やっぱり面白さがわからない。
プロフにあるように19世紀を偏愛してる自分には、モダニズムはどうにも合いません。誰かその辺りを優しくレクチャー下されば幸いです。 pic.twitter.com/kbyEK7u01z
『壁』 安部公房
— airon (@flatairon) January 11, 2022
第一部「S•カルマ氏の犯罪」で主人公は名前を失うのですが、ちょうどテレビで見た「千と千尋の神隠し」の内容と重なって、名前ってすごい大事だなって読みながら考えました。
第三部の「洪水」は、かなり前衛的な内容なのに、とてもリアルで面白かったです。#読了 pic.twitter.com/eMg4fE8HHk
安部公房の「壁 S・カルマ氏の犯罪」を読了しました。〝小説というものが虚構であることを、小説家も読者ももっと思い知らなければならない…〟とか、〝近代文学に向けて放たれた虚無的なカウンター!?〟とか考えさせてくれる作品でした。#読了 pic.twitter.com/uF0kLbXyOH
— STFY💫(須藤) (@st1126umi) February 23, 2021
野間宏『崩解感覚』
野間宏『暗い繪』何度読んだかわからぬ再読。『肉体は濡れて』から『崩解感覚』の初期作品を愛読してきた者としては過去の露出趣味や性行為強要未遂事象を知るに当たり、現在、一部の映画監督で取り沙汰されている問題に劣らず、お前もかと言う意味で『DAYS JAPAN』広河隆一以来の落胆を抱いている。
— 夢屋プラネットワークス (@asonoasobito) May 16, 2022
今日は野間宏の誕生日です。
— 読書会みらい(齋藤)次回10月26日(水)Zoom19:30 (@bookclubmirai) February 23, 2022
第一次戦後派の中心人物。
『暗い絵』
『崩解感覚』
『真空地帯』
『わが塔はそこに立つ』
『青年の環』
『狭山裁判』
1941年に応召。思想犯として大阪陸軍刑務所で半年間服役。敗戦後、日本共産党に入党。部落問題に関する言論活動。晩年は環境問題にも興味を持つ。
戦後の小説ベスト5。「野火」(大岡昇平)、五勺の酒(中野重治)、崩解感覚(野間宏)、鳴海仙吉(伊藤整)、播州平野(宮本百合子)
— 大西巨人 (@onishikyojinbot) April 29, 2022
梅崎春生『桜島』
処女作「風宴」の、青春の無為と高貴さの並存する風景。出世作「桜島」の、極限状況下の青春の精緻な心象風景。そして秀作「日の果て」。「桜島」「日の果て」と照応する毎日出版文化賞受賞の「幻化」。不気味で純粋な“生”の旋律を伝える作家・梅崎春生の、戦後日本の文学を代表する作品群。
梅崎春生 「桜島」
— みみ (@sendabayasi0910) August 15, 2022
終戦日だから再読した。この方の作品は戦争に付随するものを文に捻出している感じがする。蝉を握りつぶすシーンは生々しく強烈だった。終始、陰鬱ではあるが滔々と語られているので青空文庫で読んでほしい。#読了
梅崎春生「桜島・日の果て・幻化」講談社文芸文庫。読了。やっぱり好きだなぁ…梅崎春生さん。戦後作家として文壇デビューだそうですが、現行出版されているのは少ない。戦争の話が読みやすいという、初めての体験。
— ふぢお (@MaughamTTOLII) August 12, 2019
梅崎春生『桜島・日の果て・幻化』講談社文芸文庫読了
— 空知たゆたさ (@Hako_Otokos) May 28, 2018
帝国大学在学中に発表したデビュー作「風宴」と戦争を主題にした表題作三篇を所収。青春小説風の何かである「風宴」も悪くないが、表題作三篇がやはり良く、その中でも「桜島」と「幻化」には打ち震えた。
武田泰淳『ひかりごけ』
「おめえ、おらが死んでも喰わねえな」
「喰わねえてば、喰わねえでねえか。同じ村の同じ船に乗ってるもんをよ。誰が喰うだ……」
昭和19年、厳冬の北海道羅臼で起きた「難破船長人喰事件」。
実在の事件をもとにした、戦後文学の極北。
雪と氷に閉ざされた北海の洞窟の中で、生死の境に追いつめられた人間同士が相食むにいたる惨劇を通して、極限状況における人間心理を真正面から直視した問題作「ひかりごけ」。仏門に生れ、人間でありながら人間以外の何ものかとして生きることを余儀なくされた若き僧侶の苦悩を描いて、武田文学の原点をうかがわせる「異形の者」。ほかに「海肌の匂い」「流人島にて」を収録する。
『ひかりごけ』(武田泰淳さん)読了。
— ノグチリカ (@r1cac1r) April 20, 2022
戯曲の後半、裁判のシーンにて「他人の肉を食べた者か、人に食べられてしまった者に裁かれたい」という船長のセリフ、そして光の輪が密集していくラストシーンに涙する。 pic.twitter.com/bkGRwv7Jl0
#読了
— 番頭 (@tishi07) September 23, 2022
ひかりごけ/武田泰淳
「わたしは我慢しています」
「なにをだ?」
「いろいろなことを…」
この印象深い会話が心に残りました。船の遭難により、辿り着いた先で乗組員を食べた船長。生き残るものの、その罪で裁判になる。
武田泰淳の属性は、左翼、社会、仏教、海と思いました。短編集です。 pic.twitter.com/Aw0t2bqMgt
#読了
— さよ (@yIgToJ2WlaK3Zih) March 21, 2022
ひかりごけ 武田泰淳
人の肉を喰った者には、首の後ろに光の輪ができる。
緑色のひかりごけのような光の輪が。極限なで削ぎ落とされた飢餓と人道のせめぎあい。洞窟での会話。裁判のラストがいつまでも胸に響く。首の後ろの光の輪に群衆はもっと目を凝らさなければならない。 pic.twitter.com/tWTJo5c2hj