著作権と引用における画像使用の難しさ。日本経済新聞社によるイケハヤさんのYouTubeアカウント停止を見て

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今日は「著作権と引用」についてのお話です。

※僕は法律の専門家ではありません。そのため間違いも含まれていると思いますので、確実な情報をお求めの方は弁護士等の専門家にご相談ください。

Twitterを見ていると、なにやらイケハヤさんが話題になっていました。イケハヤさんといえばブロガー界では知らぬものなしレベルの有名ブロガー。

何々?と見てみると、「YouTubeのアカウントが停止された」とのこと。

イケハヤさんだけでなく、ブロガー全般で「YouTubeを始めよう!」というのはトレンドになっていましたし、もうしばらくはその流れが続きそうな気がします。ただそのどちらにしても著作権の問題は付きまとってきます。

僕もブログをやるにあたって著作権と引用の関係については少し勉強したので、今回はその辺りについて書いていこうかなと。

ブロガーやYouTuberは一回調べてみるといいと思いますよ。

著作権と引用における画像使用の難しさ

イケハヤさん曰くアカウントが停止になったのは日本経済新聞社からの削除申請があったからとのこと。

イケハヤさんは動画の以下の部分が問題になったのではと推測されています。

僕はイケハヤさんの動画を見ていたわけではないんですが、このキャプチャをみて「あちゃー」と思いました。

日経新聞社サイドがどう言ってくるかとかはわかりませんが、イケハヤさんの言う「引用」的には成立するかかなり怪しいでしょう。

というのもこれってキャプチャじゃないですか。つまり「画像」なんですよね。いろいろ勉強したときに知ったんですが、「画像引用」は文章の引用に比べてかなりハードルが高い印象があります。

文化庁の定める引用要件

著作権と一口に言っても国によって詳細は異なります。日本の場合は著作権法が詳細を定めており、文化庁が「著作物が自由に使える場合」と題して引用の要件について紹介しています。

その条件は以下の通りです。

(注5)引用における注意事項
 他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般的には,以下の事項に注意しなければなりません。
(1)他人の著作物を引用する必然性があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)出所の明示がなされていること。(第48条)
(参照:最判昭和55年3月28日 「パロディー事件」)

文化庁ホームページ(http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html)より、2019年10月16日閲覧

このほかにも、すでに公表されている著作物であること「公正な慣行」に合致すること報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること、などが法律によって示されています。

で今回の一件の場合「他人の著作物を引用する必然性があること。」これが引っかかったんじゃないかなと個人的には考えています。(「主従関係が明確」かもしれませんが、動画を見ていないのでちょっとわかりません)

イケハヤさんはニュースを紹介し、そのニュースに対して意見や感想を言うというスタイルらしいですけど、この場合「ニュースを紹介」は必然性があると言えると思うんですよね。(ただ全文はNGでしょう)そのニュースがなければ、オピニオンを表明することは出来ないわけですから。また「批評や研究」にも当たると思います。

ですが、今回はキャプチャです。画像です。これって「必然性がない」と思うんですよね。ニュースの内容や本文と違って「絶対必要!」ってものでもないじゃないですか。画像がなくても本文の記述(記事の内容)さえあれば、充分に伝えることが可能です。画像があると、動画の信憑性や説得力が高まりますし、画面構成にも変化が生まれるのは分かりますが、「必然性」を求められると厳しいのではないでしょうか。

「とある絵画が問題になった」とか、「とあるドラマのワンシーンが問題になった」とか、「とある漫画の表現が問題になった」とかなら画像引用の必然性は高まるでしょう。(ただケースバイケースなので注意が必要です)

例えば政治系YouTuberのKAZUYAさんの動画は以下のようになっています。

KAZUYAさんも動画に新聞やネットニュースの記事を使用していますが、全て文字にして出しています。また、時間的にもKAZUYAさんが自分の意見を話している時間よりだいぶ短くなっています。

これなら引用要件をより満たしやすくなると思うんですよね。

ロゴも大丈夫なのか?

あとあり得るのが「ロゴ」が問題視されたという可能性ですね。

サッカーファンの間で一時期「ワールドカップの動画」が話題になったことがありました。当時まだまだニコニコ動画の勢いがあったとき、南アフリカW杯や2011年の女子W杯のMAD動画がたくさん投稿されたんですね。

でもそのうちいくつかの動画はあっという間に権利者削除されました。

まぁ勝手に公式の動画やテレビの映像を使っているので削除されるのは当然と言えば当然なんですが、その対応の早さの差が話題になっていたんです。

そのとき視聴者の推測で「たぶんそうだろうね」と結論付けられたのが「公式ロゴを使っている動画が含まれているか」という点でした。

サッカーではなくラグビーの動画ですが、この動画の最後の部分のようなものです。(埋め込み再生できないみたいですね…)

この場合、NHKは公式の許諾を得て動画を制作・公開していますから、大会のロゴを使うことに何の問題もありません。しかしかつてのMAD製作者たちはもちろん無許可でやっていたわけで、それなのにロゴを使っていたのを問題視されたのでは?と噂されていたんです。

今回のイケハヤさんの一件もおそらくそうではないのかなと考えています。無許可で許諾を得ているように見えたのが問題視されたのではないでしょうか。

もともと引用は「逐一許可を求めるのは面倒だし、不利益になるものは使用を許可しない場合もある」ために、他人の著作物を無断で使えるように条件を考えられて作られた制度です。

しかし企業のロゴは「公式」「公認」を示す場合にも使用されることがあります。引用が無断利用を前提としたものであっても、なかなかそこまではカバーするのは難しいのかもしれません。(商標権や意匠権も絡んでくるかもしれませんね)

そもそも日経は著作権に厳しい?

「そもそも日経は著作権に厳しいよ」というツイートを見かけました。

各新聞社やニュースサイトでもスタンスに差があるとは思いますが、僕は業界人でもないのでこの点については分からないですね。

ただ、イケハヤさんの訴えを却下したり、それこそ法廷での決着とまでなれば、日経新聞社のスタンスもはっきり見えてくると思います。

追記:リンクポリシーについて書いてありました

日本経済新聞の公式サイトにリンクポリシーに関するページがあり、そのページに詳細が書いてありました。

題字やロゴを利用できない旨がはっきりと書いてありますね。

著作権のページにも複製などについて書いてあります。利用者はこういった公式のページを事前に確認しておくことが大切ですね。

もちろん一企業の規約より法律のほうが適用されますけど、アカウント停止とか、裁判とかめんどう事は避けたいものです。

おわりです。SNS時代になって、YouTubeやブログのサムネイルや画面構成の重要性は以前の比ではありません。ですが著作権には注意したいところですね。

調べたら「日経文庫」から著作権の本が出てるんですね。やっぱり著作権について関心が高いんですかね?

(ちなみに、TwitterAPIを用いたツイートの埋め込みは、Twitter規約にて利用可能である旨が定められています。)

雑記
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