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朝吹 真理子 あさぶき・まりこ(1984年12月19日 – )
小説家。東京都出身。慶應義塾大学大学院文学研究科国文学専攻修士課程修了。吉増剛造を囲む会でのスピーチをきっかけに編集者から小説を書くように勧められ、デビュー作「流跡」を『新潮』2009年10月号に発表。2011年、「きことわ」で、芥川賞を受賞。
おすすめ作品ランキング
長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!
- 1位:TIMELESS
- 2位:抽斗のなかの海
- 3位:流跡
作品年表リスト
『流跡』(2010年10月)
ヒト、密書、スーツケース。夜な夜な「よからぬもの」を運ぶ舟頭。雨上がりの水たまりに煙突を視る会社員。漂着した島で船に乗り遅れる女。私はどうしてここにいるのか。女房を殺したような、子どもの発話が遅れているような、金魚が街に溢れている、ような――。流転する言葉をありのままに描き、読み手へと差し出した鮮烈のデビュー作。芥川賞受賞前夜の短篇「家路」を同時収録。
『きことわ』(2011年1月)
貴子(きこ)と永遠子(とわこ)。葉山の別荘で、同じ時間を過ごしたふたりの少女。最後に会ったのは、夏だった……。25年後、別荘の解体をきっかけに、ふたりは再会する。ときにかみ合い、ときに食い違う、思い出。境がゆらぐ現在、過去、夢。記憶は縺れ、時間は混ざり、言葉は解けていく――。やわらかな文章で紡がれる、曖昧で、しかし強かな世界のかたち。小説の愉悦に満ちた、芥川賞受賞作。
25、6歳の作者が時間というテーマを取り扱ってひとつの達成を果たしたことにはたいへんな価値があると思いますが、小説的にはいささか退屈でした。
永遠子という登場人物の名前にも表れている通り、時間というテーマは越境的にも拡大していきましたが、テーマが迷子になってしまっているような感覚になりました。
『TIMELESS』(2018年6月)
空から死は降ってこない。降ってくるとしたら、それは――。芥川賞受賞から七年、待望の新作長篇。恋愛感情のないまま結婚し、「交配」を試みるうみとアミ。高校時代の広島への修学旅行、ともに歩く六本木、そこに重なる四百年前の土地の記憶、いくつものたゆたう時間。やがてうみは妊娠、アミは姿を消す。――二〇三五年、父を知らぬまま17歳になった息子のアオは、旅先の奈良で桜を見ていた……。待望の芥川賞受賞後第一作。
『抽斗のなかの海』(2019年7月)
武満徹、吉田健一ら会えなかった人との精神の応答。幼い日から大事にしてきたものや、鉱物への偏愛、臍のごまの話まで。デビューから10年、芥川賞作家、初のエッセイ集はすこしふしぎ(SF)。