【おすすめ】朝倉かすみの全作品を一覧であらすじを紹介します

[PR]、記事内リンクはAmazonで商品検索を行います。

朝倉 かすみ あさくら・かすみ(1960年8月10日 – )

小説家。北海道小樽市出身。北海道武蔵女子短期大学教養学科卒業。卒業後は様々な職を経験する中で、小説を執筆。2003年、「コマドリさんのこと」で第37回北海道新聞文学賞受賞。2004年、「肝、焼ける」で第72回小説現代新人賞受賞。2009年、「田村はまだか」で第30回吉川英治文学新人賞受賞。2019年、『平場の月』で第32回山本周五郎賞を受賞した。

おすすめ作品ランキング

長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!

  • 1位:平場の月
  • 2位:少女奇譚 あたしたちは無敵
  • 3位:遊佐家の四週間

作品年表リスト

肝、焼ける(2005年11月)

31歳になった。遠距離恋愛中、年下の彼は何も言ってくれない。不安を募らせて、彼の住む町・稚内をこっそり訪れた真穂子は、地元の人たちの不思議なパワーを浴びて、なにやら気持ちが固まっていく――。30代独身女性のキモ焼ける(じれったい)心情を、軽妙に描いた小説現代新人賞受賞作を含む、著者の原点、全5編。

ほかに誰がいる(2006年9月)

「十六歳だった。あのひとに出会うまで十六年もかかってしまったという気持ちは、後悔に少し似ている―」。本城えりが電車の窓越しに、賀集玲子の姿を見初めたのは、高校一年のことだった。玲子に憧れ、近づき、ひとつになりたいと願うえり。その強すぎる思いは彼女自身の人生を破滅へと向かわせてゆく。読み始めたら止まらない、衝撃作。

そんなはずない(2007年6月)

松村鳩子は、三十歳の誕生日を挟んで、ふたつの大災難に見舞われる。自分を高く売ることを考えて、抜け目なく生きてきたというのに。婚約者に逃げられ、勤め先が破綻。失業保険が切れるころ、変りものの妹、塔子を介し年下の男、午来(ごらい)と知り合う。

そして、心ならずも自分の過去の男たちとつぎつぎに会う羽目に。さらに、新しい職場である図書館の同僚たちに探偵がつきまとい、鳩子の男関係を嗅ぎまわっている、らしい。果して依頼人は誰? その目的とは? 大人の恋愛は純粋でもどかしい。恋愛にまつわる災難についての物語。

好かれようとしない(2007年11月)

デートの経験もある。男と寝たこともある、一度きりだけど。二十五歳の二宮風吹(にのみやふぶき)は「必死」が苦手。恋に餓えた顔を晒(さら)すぐらいなら地味で結構。そんな私が一目惚れするなんて。鍵屋の若旦那を想う気怠(けだる)く、もどかしい日々。攻め手が分からない。そんなときアパートの大家が言った――「好かれようとしないことよ」。

田村はまだか(2008年2月)

深夜のバー。小学校のクラス会3次会。男女5人が、大雪で列車が遅れてクラス会に間に合わなかった同級生「田村」を待つ。各人の脳裏に浮かぶのは、過去に触れ合った印象深き人物たちのこと。それにつけても田村はまだか。来いよ、田村。そしてラストには怒涛の感動が待ち受ける。2009年、第30回吉川英治文学新人賞受賞作。傑作短編「おまえ、井上鏡子だろう」を特別収録。

ストーリーの筋としては、男女5人が田村という登場人物を待ちながら話をするというシンプルなもの。

ある程度年齢を重ねた登場人物が多いため、彼らの話には人生の機微が紛れ込んでいます。それだけに読者も年齢を重ねた方のほうが心に沁みる作品になっていると思います。若い読者には退屈に感じられるかも。

あらすじで「ラストには怒涛の感動が待ち受ける。」などとズレたハードルの上げられ方をされたのがこの作品の不幸なところで、感動を期待して読むと肩透かしをくらいます。

タイム屋文庫(2008年5月)

「時をまたいで仕掛けた、あの恋のつづき」

亡くなった祖母の思い出がたっぷりと染み込む家で、突然の思いつきで始めた「タイム屋文庫」。タイムトラベル専門の貸本屋というアイデアは、実は、かつて置き去りにしてしまった恋のつづき。そこで彼女はたった一人の客を待つつもりだったのだが……。

考えなしでヌケ作の三十路女性が、心機一転をはかって繰り広げるラブストーリー。その結末は!?

三十一歳で会社を辞めた柊子は、初恋相手を待つために、亡き祖母の家で時間旅行の本を扱う貸本屋を開く。近くのレストランの店長にコーヒーの淹れ方を習い、喫茶も提供して。店内には雑音混じりの定番曲が流れ、訪れた客はソファで居眠りをし、自分の未来を暗示する夢を見るという――。柊子の初恋の人は店に現れるのか。

帯に「時間旅行の本、貸します」とあったので本を扱う話かと思いきや、がっつりラブストーリーでした。(あらすじは見ないで買いました)

主人公の柊子や、彼女がほかの登場人物を見る視線に好感を覚える小説です。

夫婦一年生(2008年8月)

「田村はまだか」作者が贈る新婚夫婦の物語。

事務系OLの青葉は、仕事で出会った男、朔郎と結婚した。新居は彼の赴任先の札幌の築15年3LDKのマンション。新婚旅行のお土産選定に頭を悩ませ、料理のレパートリー向上に努め、ご近所付き合いにも前向きに取り組むなど、主婦業を全うしようとする青葉なのだった。

それでも、うまくいかないこともある。ご近所さんに夫の極秘情報をうっかり流してしまい、初の夫婦げんかに発展したり、夫の両親が泊まりがけで来訪するという一大事に振り回されたりする。

嫁は1日にしてならず、な日々を綴った、ムフフときどきトホホな新婚デイズ小説。

エンジョイしなけりゃ意味ないね(2008年11月)

アットホームが社風のメーカーに入社した実夏が配属された総務課には、美人、真んなか分け、中年女3人の先輩OLが待ち構えていて‥‥(「直立チューリップ」)。お局の久保田さんが無断欠勤。彼女の親友として、影の薄かった由里が突如社内で注目を浴び‥‥(「久保田さん失踪事件」)。華々しくはない、でも健気にがんばる雑草OL12の物語。

ロコモーション(2009年1月)

小さなまちで、男の目を引くからだを持て余しつつ大人になった地味な性格のアカリ。静かな生活を送りたくて大きな街に引っ越し、美容関係の仕事を見つけた。しかし、親友、奇妙な客、奇妙な彼氏との交流が彼女の心の殻を壊していく――。読む者の心をからめとる、あやうくて繊細でどこか気になる一人の女性の物語。『田村はまだか』に続く珠玉の一冊!

玩具の言い分(2009年5月)

四十三歳の宇津井茂美はいまだに男性経験がない。自分と似た境遇の伯母が入院してしまい、独り身の行く末を案じていた。両親が伯母を見舞いに行ったため、代わりに父親の知人を接待することに。おくての茂美は、訪ねてきた三人が素敵な男性だと分かり、狼狽えるが……(「小包どろぼう」より)。大人の恋愛は複雑で苦い。だけど、どこか甘い。心にしみわたるアラフォー女性への応援歌。

ともしびマーケット(2009年7月)

誰もが名も無き日常を諦めと期待の中で生きている――ともしびスーパーマーケット鳥居前店の買い物客も従業員も、彼らの帰宅を待つ家族も、遠くで想う恋人も。そして退屈は前触れもなく破られ、ドラマは否応なしに始まる。割り切れない感情の波を選び抜かれた言葉で描いた、静かな高揚感に包まれた物語。

静かにしなさい、でないと(2009年9月)

ブスでワキガの内海恵里伊は、幼い頃から華やかな名前と地味な容姿とのギャップに悩み、自信が持てずにいた。ある日、小学校で同級生だった川原谷くんと約十年ぶりに再会した恵里伊は、彼女とうまくいっていないという彼に優しく言い寄られるのだが…。(「内海さんの経験」)。どうして自分はこんな風に生まれてしまったのだろうか。現実に直面してもがきながらも、懸命に生きる人々を描いた短篇集。

深夜零時に鐘が鳴る(2009年11月)

年の瀬の迫った北の街。29歳の堅物女・テンコはかつての同居人“ リコ” の元カレ・根上と再会する。ふいにテンコの前から消えたっきり行方知れずとなったリコはいま、どこでだれと過ごしているのか。追いかけても掴めない、リコの面影をさがす一歩一歩の道のり。

私たちはどこからきて、どうしていまここにいるのか。優しい出会いの物語が、再び始まる。

感応連鎖(2010年2月)

母親が自分に寄せる夢を体に溜め込み肥満化した節子。他人の秘め事を言い当てられるがゆえに高慢で孤独な絵理香。周囲の期待に応え続ける美貌の由季子。膨らんだ自意識は、彼女たちを苦しませるだけではない。生きあぐねる女子の生態と心理を辛辣かつユーモラスに描き、痛快極まりないラストへと誘う傑作長編。

ぜんぜんたいへんじゃないです。(2010年3月)エッセイ

田村はまだか』で吉川英治文学新人賞を受賞し、今いちばん注目される若手作家(だが今年50歳)の人生前向き初エッセイ。掃除をずーっとしてなくても締め切り地獄にハマってもオットと喧嘩しても「ぜんぜんたいへんじゃない」日々のあれこれを綴る。

声出していこう(2010年8月)

平凡な街の地下鉄駅構内で通り魔事件が発生。事件はさまざまな人々に影響を及ぼす――。部活が休みになった男子中学生、作家に恋する女子高生、自称「モテ男」の家業手伝い、「元神童」の46歳独身男……。この街に住む6人の老若男女が、自らの「居心地のわるい思い」を乗り越えるべく悩みながらも生きるさまを描いた感動作。『田村はまだか』の著者が新たに放つ衝撃!

夏目家順路(2010年10月)

北海道在住の元ブリキ職人の夏目清茂、74歳。ある日、若い友人とスナックで1杯やっていたところ突然脳梗塞の発作を起こし、昇天。その死を悼む娘・息子、遠い昔に別れた元妻、そしてさまざまな友人・知人たち……。葬儀の日まで、そして葬儀の際に彼らが思い出す清茂の姿は、機嫌がよく、優しく、世話好きで――謎の部分もあった。清茂の葬儀を中心に、いくつもの人生が追憶と回想の中で交差する。『田村はまだか』で吉川英治文学新人賞を受賞した著者の傑作長篇小説。

恋に焦がれて吉田の上京(2012年5月)

札幌に住む吉田苑美(そのみ)は、23歳にして人生初の恋をする。相手は四十男のエノマタさん。不器用な乙女は「会いたい」と「知りたい」と「欲しい」の本能のまま、想い人を張り込んだ。だがある時彼は上京し、吉田は友人前田の制止(「正気かい?」)を振り切り後を追う。まだ吉田の存在を知らぬ彼に、ちゃんと出会うために。初恋の全てがここにある! 『とうへんぼくで、ばかったれ』改題。

  • 「とうへんぼくで、ばかったれ」新潮社
  • 【改題】「恋に焦がれて吉田の上京」新潮文庫

幸福な日々があります(2012年8月)

「夫としてはたぶんもう好きじゃないんだよね」。三十六歳で結婚をしてから十年を迎える年の正月、お雑煮を食べながら森子は祐一に告げた。別に嫌いになったわけじゃない。親友としてなら、好き。けれどももう一緒にはいたくない。戸惑う夫を尻目に森子は一人暮らしの準備をし、離婚の手続きを進めようとする――。恋とは結婚とは、一体何なのか。女性の心に潜む本音が共感を呼ぶ長編小説。

少しだけ、おともだち(2012年10月)

ご近所さん、同級生、バイト仲間や同僚──。夢とか恋バナとか将来を語ることもあるけど、ほんとうに大切なことはそんなに話してないかもしれない。女同士ってちょっとむずかしい。でもたった一人は寂しいからやっぱり「おともだち」は必要だ。仲良しとは違う微妙な距離感を描いた短編集。書き下ろし「最後の店子」「百人力」を加えた10作品を収録。

てらさふ(2014年2月)

自分がまがいものであることは承知の上で、スーパースターになって2010年代を疾走することを夢想する堂上弥子(どうのうえやこ)。

耳の中で鳴る音に連れられ、どこかに行きたいというきもちがつねにうねっていた鈴木笑顔瑠(すずきにこる=ニコ)。

北海道の小さな町で運命的に出会ったふたりの中学生は、それぞれ「ここではないどこか」に行くため、一緒に「仕事」で有名になることを決める。その方法は弥子が後ろに回り、ニコが前面に出るというもの。最初の仕事は読書感想文コンクールでの入選。弥子が書いてニコの名前で応募した感想文は見事文部科学大臣奨励賞を受賞、授賞式にはニコが出席した。

ふたつめの仕事は、史上最年少で芥川賞を受賞すること。ニコの曽祖父の遺品の中にあった小説を弥子がアレンジして応募した小説「あかるいよなか」は、芥川賞の登竜門となる文芸誌の新人賞を受賞する。作品はその後順当に芥川賞にノミネートされるが、それは「てらさふ」仕事を続けてきた、ふたりの終わりのはじまりだった――。

てらさふ――とは「自慢する」「みせびらかす」こと。「てらさふ」弥子とニコがたどり着いた場所とは? 女の子の夢と自意識を描きつくした、朝倉かすみの野心作。

遊佐家の四週間(2014年7月)

羽衣子の親友・みえ子が遊佐家に四週間ほど居候することになった。みえ子は異様な容貌だが、大富豪の娘。美しく貧しい家庭で育った羽衣子とは正反対。二人で支え合ってきたが、やがて羽衣子は「まともな家庭」を手に入れる。その遊佐家に住み始めたみえ子は家族の心を掴み、完璧だったはずの家庭に徐々に綻びが見え始め……。二人の女の歪な友情が家族に与えたものとは?

ぼくとおれ(2014年11月)

1972年9月8日。札幌の同じ病院で生まれた「ぼく」蒲生栄人と「おれ」仁村拓郎。ふたりは毎日〈スイッチ〉を押し、ちいさな選択を繰り返して、進学、恋愛、就職、結婚と、人生の地図を描いてきたが……。

40歳の男ふたりが辿った交わりそうで交わらない(!?)道筋を、昭和から平成へ移りゆく世相と絡め、巧みな筆致で紡ぎ出す。山本周五郎賞作家の珠玉作。(『地図とスイッチ』改題)

  • 「地図とスイッチ」
  • 【改題】「ぼくとおれ」実業之日本社文庫

乙女の家(2015年2月)

愛する人との内縁関係を貫いた曾祖母、族のヘッドの子どもを16歳で産んだ祖母、理想の家庭像に邁進しすぎる母という、強烈な女系家族に育つ女子高生の若菜は、自分のキャラのなさに悩んでいた。文学少女キャラの友人・高橋さんと家出をしてみたり、彼女の初恋や家族の恋への助太刀を決め、名脇役を目指してみたり。はたして若菜は自分のキャラと、皆の幸せを掴めるか。かしまし迷走青春劇。

わたしたちはその赤ん坊を応援することにした(2015年2月)

ガンになったわたし、笑われてばかりのフージコさん、産む女になりたいスミレ……不器用な女たち。そんな彼女たちを遠くから見守る視線。慰めや励ましはなぜ届かないの? うまく受け取れないの? ビターで不思議な7つの世界。

植物たち(2015年12月)

奇妙で可愛く、時におぞましい植物たちは、どこか人間と似ている──。他の植物にくっついて生きるコウモリランは、若い男性を家に住まわせる年配の女性と。条件に恵まれると繁殖するホテイアオイは、とある家に住みつき妊娠する少女たちと。日陰が必要なシッポゴケは、自身の女性性を憎む少女と。人間の不可思議な行動を植物の生態に仮託して描く、アサクラ版・植物誌全七作。

たそがれどきに見つけたもの(2016年2月)

人生を八十年とし、それを四で割ってみた。四は四季の四である。すると、今年五十のわたしは、秋の真んなかにいた――。どこにでもある日々が、ここにしかない物語に変わる。山本周五郎賞受賞&直木賞候補作『平場の月』の著者による、大人の心に寄り添う、切なく優しい短編集。

少女奇譚 あたしたちは無敵(2016年6月)

小学校の帰り道に拾った光る欠片。敵と闘って世界を救うヒロインに、きっとあたしたちは選ばれた。でも、魔法少女だって、死ぬのはいやだ。(表題作)など、少女たちの日常にふと覘く「ふしぎ」な落とし穴。

満潮(2016年12月)

大学生・茶谷は、結婚式場でのバイト中、美しい花嫁・眉子に一目惚れをした。彼女を分かってあげられるのは僕だけだからと、夫の会社に潜り込んで近づいていく。しかし、人を喜ばせることに依存して生きる眉子には、その過剰な自意識すら満たすべき対象となっていた――。過去の記憶も呼び起こし、思いのすれ違いが生んだひずみは、――暴走を始める。

ぼくは朝日 (2018年11月)

小学4年生の朝日を中心に、マイペースな父、母代わりのしっかり者の姉、愛猫のくろちゃん、そして家族を取り巻く個性豊かな人々。ともに笑い、泣き、怒りながら家族の絆は強くなっていく。

アットホームな家族の予想外の結末!あなたの目頭はきっと熱くなる。北海道・小樽を舞台にした、昭和の風情ただよう、笑いあり涙ありの家族の物語。

平場の月 (2018年12月)

朝霞、新座、志木。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。須藤とは、病院の売店で再会した。中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。50年生きてきた男と女には、老いた家族や過去もあり、危うくて静かな世界が縷々と流れる。心のすき間を埋めるような感情のうねりを、求めあう熱情を、生きる哀しみを、圧倒的な筆致で描く、大人の恋愛小説。

コメント

タイトルとURLをコピーしました