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吉増剛造が吉本隆明の原稿に初めて触れて約50年。その触手で『根源乃手』と『根源乃(亡露ノ)手、…』を記し、その思考を言語化した。
作品情報
- タイトル
- 根源乃手/根源乃(亡露ノ)手、……
- 著者
- 吉増剛造
- 形式
- 論考
- ジャンル
- 詩
- 執筆国
- 日本
- 版元
- 響文社
- 刊行情報
- 響文社、2016年
あらすじ・概要(ネタバレなし)
吉本隆明の『日時計篇』を長い間、思索と探求をしていた吉増剛造は、これからの世界を考えるため、新境地の『根源乃手』『根源乃(亡露ノ手、……)』を拓きました。
吉増剛造、こころの深い部分に眠る“暗い沼”を見つめ、意識の流れと存在が交感する異能の詩人です。 吉増剛造が吉本隆明の原稿に初めて触れて約50年。その触手で『根源乃手』と『根源乃(亡露ノ)手、……』を記しました。ようやく「来るべき」書物が誕生しました。それぞれが独立した書物でありながら、無意識に潜むコトバを言葉環として意識化した長編詩は“生”そのものです。
吉本隆明が26歳から27歳、約1年半の間に書かれた480篇もの詩篇群『日時計篇』。この「驚異的」で「家事の領域」の詩業に、吉増剛造ははやくから注目し、読み続けていました。
2011年3月11日の東日本大震災、その1年後、2012年3月16日、マルセイユに滞在していた吉増剛造は吉本隆明の逝去の報を受け、何かに導かれるようにして「詩のなかの聞こえない声を聞く責任がある」と考え、詩篇群『日時計篇』すべてと対峙することをはじめる。
吉増剛造は吉本隆明の480篇もの詩篇群『日時計篇』の先になにを見たのか。『根源乃手』はその軌跡です。そうして吉本隆明の「万象に間断なく触れている根源乃手、…」に倣い、約4年。吉増剛造は長篇詩『根源乃(亡露ノ)手、……』を書き記しました。その詩は、天地45,0㎝×全長12m75㎝。書物となることを拒み、読まれることさえも拒んでいるかのような「気恥しさ」をはらんだこの長篇詩はいったい何を語っているのか
目次
作者
吉増剛造(1939 – )
詩人。東京府下(現杉並区)阿佐ヶ谷に生まれ。慶應義塾大学文学部卒。現代日本を代表する先鋭的な詩人の一人として高い評価を受けている。主な作品に『黄金詩篇』『王國』『The Other Voice』。詩の朗読パフォーマンスの先駆者としても知られる。
刊行情報
感想・解説・評価
#吉増剛造「根源乃手/根源乃(亡露ノ)手、……」#読了
— 右手@ものかき (@migite1924) 2020年1月30日
吉本隆明の詩を長年にわたり読み続けていたという吉増が、とくに「日時計篇」を中心に、「固有時との対話」「転位のための十篇」などの詩についての文章・講演・対談をまとめたもの。https://t.co/kkxXers42q pic.twitter.com/wX6a447jn2
僕が大好きな吉本隆明の詩を、吉本が評価していた吉増がどう読んだのか(読んでいるのか)が気になって手に取ってみたものの、吉増ならではの記述に戸惑ったことしきり。
— 右手@ものかき (@migite1924) 2020年1月30日
吉増の言う「精読」の深さの領域まで行くのは困難だった。
吉本隆明の文章にも慣れが必要だが、吉増剛造の文章にも慣れが必要であり、その慣れが身につくほど吉増の詩業に触れていないのは間違いない。というわけで、いずれ再挑戦したいところ。
— 右手@ものかき (@migite1924) 2020年1月30日
続編ともいうべき『火ノ刺繡』も気合入れて買ったんですけど(こんなこと言うのはなんだけど高かった…)まだまだ積むことになりそうですね…
— 右手@ものかき (@migite1924) 2020年1月30日
合わせて読みたい本
吉本隆明詩全集〈2〉日時計篇1
この「根源乃手/根源乃(亡露ノ)手、……」は吉増が吉本隆明の「日時計篇」を長年にわたり精読した結果書かれた読解的な文章などをまとめたものです。
「日時計篇」は分厚い本二冊ほどと長大なため、「根源乃手/根源乃(亡露ノ)手、……」に収められているのは一部だけ。
一応、その部分を参考にしつつ、吉増の文章を読むことは可能ですが、吉増の精読は相当な深さまで行っており、そんな付け焼刃的な読書ではとてもついていくことは出来ないでしょう。
先に「日時計篇」に目を通すことをおすすめします。
吉増剛造詩集
吉増の詩に触れてみたいという方はこちらをどうぞ。
文庫で安価なため買いやすいですし、初期の青春詩篇を収めているため最初に読むものとしてもおすすめです。
>>吉増剛造詩集(吉増剛造)の概要・解説・感想
評判・口コミ・レビュー
東京国立近代美術館で、吉増剛造さんの著書「根源乃手」を購入したのだが、この本の装丁が本当に素晴らしく、愛情とこだわりから生まれるクリエイティブの力に励まされる想いがした。吉増さんご本人に、お言葉を書き入れてもらい自分だけの一冊に。 pic.twitter.com/EPFyTGge9u
— HIRONORI★★★ (@newyorkROCK) 2016年7月16日
『未来の他者へ』の出版記念会で吉増剛造『根源乃手』(響文社)を購入。言葉が紙の上で乱舞しています。 pic.twitter.com/0sesC4UoJk
— 忍澤勉 (@oshikun) 2017年2月5日
昨日、朝日カルチャーセンターに吉増剛造さんの「根源乃手 吉本隆明をめぐって」を聴きに行ってきました。吉増さんの単独の講義を聴講するのは久しぶり。80歳とはとうてい思えない、綿密な準備、美しいレジュメ、力のこもったトークに敬服。詩とは「夏の気耻(きはずか)しさ」。 pic.twitter.com/5VmgNwoJYB
— コトニ社 (@kotonisha) 2019年12月28日
吉増剛造『根源乃手』(響文社)全篇が吉本隆明へのオマージュから成る一冊。特に『日時計篇』全篇を書き写す体験から得た詩/批評の「内蔵」体験とでも呼ぶしかないエクリチュールには目を見張った。声を文字に移す作業の困難を徹底して意識したドキュメントだ。講演録さえ「詩」にしてしまう詩人だ。
— 山田兼士 (@yamadakenji1) 2016年11月2日
先ほどの『根源乃手』の帯には「…吉増剛造は長篇詩『根源乃(亡露ノ)手、……』を書き記した。その詩は、天地45.0cm×12m75cm。書物となることを拒み、読まれることさえも小判ているかのような「気耻しさ」をはらんだこの長篇詩はいったい何を語っているのか…」とある。 pic.twitter.com/rKN8q8AgE5
— 忍澤勉 (@oshikun) 2017年2月5日