【おすすめ】荻原浩の全作品を一覧であらすじを紹介します

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荻原 浩 おぎわら・ひろし(1956年6月30日 – )

小説家。埼玉県大宮市出身。成城大学経済学部卒業。大学卒業後、広告代理店やコピーライターとして活躍。39歳のときに小説を書き始め、1997年にその小説『オロロ畑でつかまえて』で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2004年に発表された『明日の記憶』が本屋大賞第2位にランクイン。さらに山本周五郎賞を受賞し渡辺謙主演で映画化されるなどヒット作となる。

おすすめ作品ランキング

長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!

  • 1位:明日の子供たち
  • 2位:明日の記憶
  • 3位:二千七百の夏と冬

荻原浩の作品年表リスト

オロロ畑でつかまえて(1998年1月)

【第10回小説すばる新人賞受賞作】人口わずか三百人。主な産物はカンピョウ、ヘラチョンペ、オロロ豆。超過疎化にあえぐ日本の秘境・大牛郡牛穴村が、村の起死回生を賭けて立ち上がった! ところが手を組んだ相手は倒産寸前のプロダクション、ユニバーサル広告社。この最弱タッグによる、やぶれかぶれの村おこし大作戦『牛穴村 新発売キャンペーン』が、今始まる――。ユーモア小説の傑作。

なかよし小鳩組(1998年10月)

倒産寸前の零細代理店・ユニバーサル広告社に大仕事が舞いこんだ。ところが、その中身はヤクザ小鳩組のイメージアップ戦略、というとんでもない代物。担当するハメになった、アル中でバツイチのコピーライター杉山のもとには、さらに別居中の娘まで転がりこんでくる。社の未来と父親としての意地を賭けて、杉山は走りだすが――。気持ちよく笑えて泣ける、痛快ユーモア小説。

ハードボイルド・エッグ(1999年10月)

フィリップ・マーロウに憧れ、ハードボイルドに生きいくことに決めた「私」こと最上俊平。だが、持ちこまれるのはなぜかペットの捜索依頼ばかり。そろそろ変わらなければならないと一念発起。手始めに秘書を雇うことにしたが、やって来たのはとんでもないナイスバディ(?)な女で……。60刷を越えるベストセラー、待望の新装版。

噂(2001年2月)

「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。

誘拐ラプソディー(2001年10月)

スリルとサスペンス、ユーモアとペーソス、エンターテインメント小説のすべての要素がてんこ盛りにかかわらず、胸やけするどころか胸がジーンとなること必至。本書を読まずして「誘拐ラプソディー」は語れない。今世紀最高のコミック・ノヴェル!

本作の主人公は、父親から「日本を獲るような大きな男になれ」と言う理由だけで大層な名前を付けられた男・伊達秀吉。実際は三十八にもなって、妻なし、子どもなし、家なし、金なしという、ダメダメな人物です。

そんな彼が、篠宮伝助というおぼっちゃんを誘拐します。しかしその誘拐劇はどったんばったんな大騒動に。

クライムノベルというより、意外とハートフルな小説だと思います。

もっと読む誘拐ラプソディー(荻原浩)のあらすじ・感想(ネタバレあり)「憎めないダメ男のドタバタ誘拐劇」

母恋旅烏(2002年4月)

一家の大黒柱・花菱清太郎が家族全員を巻き込んで始めたのは、『レンタル家族』という商売。行く先々で依頼人の理想の家族を演じるものの、失敗につぐ失敗で借金はかさみ、家計は火の車に。やがて住む家すら失った花菱家の六人は、それぞれ別の道を歩んでいくが・・・・・・。 これぞ荻原作品の”原点”!笑いと涙が詰まった傑作家族小説、新装版にて刊行!

コールドゲーム(2002年9月)

高3の夏、復讐は突然はじまった。中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく……。犯行予告からトロ吉が浮び上がる。4年前、クラス中のイジメの標的だったトロ吉こと廣吉。だが、転校したトロ吉の行方は誰も知らなかった。光也たち有志は、「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を捜しはじめるのだが――。やるせない真実、驚愕の結末。高3の終らない夏休みを描く青春ミステリ。

神様からひと言(2002年10月)

大手広告代理店を辞め、「珠川(たまがわ)食品」に再就職した佐倉凉平(さくらりょうへい)。入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。クレーム処理に奔走する凉平。実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや……。サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。

メリーゴーランド(2004年6月)

過労死続出の職場を辞め、Uターンしたのが9年前。啓一は田園都市の市役所勤務。愛する妻に子供たち、あぁ毎日は平穏無事。……って、再建ですか、この俺が? あの超赤字テーマパークをどうやって?! でも、もう一人の自分が囁いたのだ。〈やろうぜ。いっちまえ〉。平凡なパパの孤軍奮闘は、ついに大成功を迎えるが――。笑って怒って、時々しんみり。ニッポン中の勤め人の皆さん、必読。

僕たちの戦争(2004年8月)

“根拠なしポジティブ”の現代のフリーターと、昭和19年の「海の若鷲」にあこがれる軍国青年が時空を超えて入れ替わった! それぞれの環境に順応しつつも、ふたりはなんとか元の時代に戻ろうとするが……。未来を知る者と、過去を知る者。ふたりの「19歳」を通して描く、あの時代、あの戦争。

明日の記憶(2004年10月)

広告代理店営業部長の佐伯は、齢(よわい)五十にして若年性アルツハイマーと診断された。仕事では重要な案件を抱え、一人娘は結婚を間近に控えていた。銀婚式をすませた妻との穏やかな思い出さえも、病は残酷に奪い去っていく。けれども彼を取り巻くいくつもの深い愛は、失われゆく記憶を、はるか明日に甦らせるだろう! 山本周五郎賞受賞、映画化もされた感動長編。待望の電子書籍化!

さよならバースディ(2005年7月)

霊長類研究センター。猿(ボノボ)のバースディに言語習得実験を行っている。プロジェクトの創始者安達助教授は一年前に自殺したが、助手の田中真と大学院生の由紀が研究を継いだ。実験は着実に成果をあげてきた。だが、真が由紀にプロポーズをした夜、彼女は窓から身を投げる。真は、目撃したバースディから、真相を聞き出そうと…。愛を失う哀しみと、学会の不条理に翻弄される研究者を描く、長編ミステリー。

あの日にドライブ(2005年10月)

牧村伸郎、43歳。元銀行員にして現在、タクシー運転手。あるきっかけで銀行を辞めてしまった伸郎は、仕方なくタクシー運転手になるが、営業成績は上がらず、希望する転職もままならない。そんな折り、偶然、青春を過ごした街を通りかかる。もう一度、人生をやり直すことができたら。伸郎は自分が送るはずだった、もう一つの人生に思いを巡らせ始めるのだが……。

ママの狙撃銃(2006年3月)

「もう一度、仕事をしてみないか」ふたりの子どもにも恵まれ、幸福な日々を送る福田曜子の元に届いた25年ぶりの仕事の依頼。幼い頃アメリカで暮らした曜子は、祖父エドからあらゆることを教わった。射撃、格闘技、銃の分解・組み立て……。そう、祖父の職業は暗殺者だったのだ。そして曜子は、かつて一度だけ「仕事」をしたことがあった――。家族を守るため、曜子は再びレミントンM700を手にする。

押入れのちよ(2006年5月)

失業中サラリーマンの恵太が引っ越した先は、家賃3万3千円の超お得な格安アパート。しかし一日目の夜玄関脇の押入れから「出て」きたのは、自称明治39年生れの14歳、推定身長130cm後半の、かわいらしい女の子だった(表題作「押入れのちよ」)。ままならない世の中で、必死に生きざるをえない人間(と幽霊)の可笑しみや哀しみを見事に描いた、全9夜からなる傑作短編集。

四度目の氷河期(2006年9月)

小学五年生の夏休みは、秘密の夏だった。あの日、ぼくは母さんの書斎で(彼女は遺伝子研究者だ)、「死んだ」父親に関する重大なデータを発見した。彼は身長173cm、推定体重65kg、脳容量は約1400cc。そして何より、約1万年前の第四氷河期の過酷な時代を生き抜いていた――じゃあ、なぜぼくが今生きているのかって? これは、その謎が解けるまでの、17年と11ヶ月の、ぼくの物語だ。

千年樹(2007年3月)

いじめに遭う中学生が巨樹の下で……「萌芽」。園児たちが、木の下にタイムカプセルを埋めようとして見つけたガラス瓶。そこに秘められた戦争の悲劇「瓶詰の約束」、ほか。切なさが胸に迫る連作短編集。

サニーサイドエッグ(2007年7月)

私は最上俊平、私立探偵である。ハードボイルド小説を愛する、根っからの私立探偵である。ペット専門の探偵ではないのだ、決して。ある日、若く着物姿も麗しい女性が事務所を訪れた。ペット捜しなら、もう――「うちの猫を捜してほしいんです」はい喜んで。1カ月ぶりの仕事ではないか。そうこうするうち、「ブロンドで青い目の若い」秘書まで雇えることに。私が独自に習得した、猫捜しの極意「サニーサイドを捜せ」を伝授し、愛しの依頼主のための捜査は順調に進むはずが……。あの名作『ハードボイルド・エッグ』の続編、いよいよ登場!

さよなら、そしてこんにちは(2007年10月)

笑い上戸で泣き上戸の営業マン・陽介の勤め先は葬儀会社だ。出産直前で入院した妻がいるがライバル社を出し抜いた葬儀があり、なかなか病院にも行けない。生まれてくる子どもの顔を葬儀の最中に思い浮かべ、笑顔が出そうになって慌てる。無事仕事を終え、病院に向かう陽介にまた厄介な案件が……。(表題作)――人生の悲喜こもごもをユーモラスに描く傑作短編集!

愛しの座敷わらし(2008年4月)

父親の左遷で東北の片田舎に引っ越した高橋一家。家に居場所のない夫、不平ばかりもらす妻、いじめにあっていた娘、気弱な息子、認知症の気配がある祖母……お互いを思う気持ちはあっても、すれ違いばかりでバラバラだった家族が、引っ越し先の古民家に棲みついていた「座敷わらし」との出会いをきっかけに、その絆を取り戻してゆく、心温まる希望と再生の物語。待望の文庫化!

ちょいな人々(2008年10月)

「カジュアル・フライデー」に翻弄され、慣れないファッションの冒険に乗り出した課長の悲喜劇を描いた表題作、大真面目で奇矯な発明が世の中を混乱させるおもちゃ会社の顛末「犬猫語完全翻訳機」と「正直メール」、熱狂的阪神ファンが彼女の実家に結婚の挨拶に行くと、彼女の父は熱烈なる巨人ファンだった…「くたばれ、タイガース」など、ブームに翻弄される愛すべき人々を描くユーモア短篇集。あなたの溜まったストレスに効く1冊!

オイアウエ漂流記(2009年8月)

南太平洋の上空で小型旅客機が遭難、流されたのは……無人島!? 生存者は出張中のサラリーマンと取引先の御曹司、成田離婚直前の新婚夫婦、ボケかけたお祖父ちゃんと孫の少年、そして身元不明な外国人。てんでバラバラな10人に共通しているのはただひとつ、「生きたい」という気持ちだけ。絶体絶命の中にこそ湧き上がる、人間のガッツとユーモアが漲った、サバイバル小説の大傑作!

ひまわり事件(2009年11月)

老人ホーム「ひまわり苑」と「ひまわり幼稚園」はお隣同士。妻を亡くし「苑」に入居した益子誠次は、幼稚園児と一緒にひまわりの種を植えた。経営が同じ「苑」と「園」には実はさまざまな不正の疑いがあるが、老人と子供たちは非力ゆえになかなか糾(ただ)すことができない。しかしある日、訳ありの「苑」の入居者・片岡さんがとうとう決起、誠次と子供たちと一緒にバリケード封鎖を敢行する。老人と子供が手を組んだとき、奇跡は起こるのか? すべての世代に送る「熱血幼老小説」。

砂の王国(2010年11月)

全財産は、3円。私はささいなきっかけで大手証券会社勤務からホームレスに転落した。寒さと飢えと人々からの侮蔑。段ボールハウスの設置場所を求め、極貧の日々の中で辿りついた公園で出会った占い師と美形のホームレスが、私に「宗教創設計画」を閃かせた。はじき出された社会の隅から逆襲が始まる!

月の上の観覧車(2011年5月)

閉園後の遊園地。高原に立つ観覧車に乗り込んだ男は月に向かってゆっくりと夜空を上昇していく。いったい何のために? 去来するのは取り戻せぬ過去、甘美な記憶、見据えるべき未来──そして、仄かな、希望。ゴンドラが頂に到った時、男が目にしたものとは。長い道程の果てに訪れた「一瞬の奇跡」を描く表題作のほか、過去/現在の時間を魔術師のように操る作家が贈る、極上の八篇。

誰にも書ける一冊の本(2011年6月)

疎遠(そえん)だった父の死に際して故郷に帰った「私」に手渡されたのは、父が遺(のこ)した原稿用紙の束。気が乗らぬまま読み進めるうちに、過去にまつわるいくつかの謎が浮かび上がる。果たしてこれは、父の人生に本当にあったことなのだろうか? 次第に引き込まれるうち、父と子の距離は、少しずつ埋まっていく――。父親の死を通して名手が鋭く描き出す、生きる意味と、親子の絆(きずな)。

幸せになる百通りの方法(2012年2月)

人生は11勝10敗と心得よ! このムズカシイ時代を、滑稽だけど懸命に生きる人たち――。自己啓発書を読み漁って空回る若きサラリーマン、お見合いパーティーに参加しても動物の行動を観察するように冷静になってしまう三十代女性、リストラされたことを家族に言いだせない二代目ベンチマン……。短篇の名手が描いた、ユーモラスでビターな7つの物語。

花のさくら通り(2012年6月)

不況にあえぐ零細広告代理店の次なるクライアントは、閑古鳥が鳴く「さくら通り商店会」。がけっぷち同士がタッグを組んで、起死回生を目指すが……。ユニバーサル広告社シリーズ第3弾!

家族写真(2013年5月)

ちっちゃい赤ん坊だった準子が嫁に行くんだぞ――男手一つで育てた娘を嫁がせる「結婚しようよ」。あの主人公が同年代の54歳と知って愕然とする「磯野波平を探して」。もはや見ないふりできない肥満解消のため家族でダイエットに励む「肉村さん一家176kg」他。短編の名手による、笑って泣ける7つの家族の物語。

二千七百の夏と冬(2014年6月)

ダム建設工事の作業中に、縄文人男性と弥生人女性の人骨が発見された。二体はしっかりと手を重ね、互いに顔を向け合った姿であった。三千年近く前、この男女にいったいどんなドラマがあったのか? 新聞記者の佐藤香椰は次第にこの謎にのめりこんでいく――。時代のうねりに翻弄された悠久の愛の物語。

冷蔵庫を抱きしめて(2015年1月)

幸せなはずの新婚生活で摂食障害がぶり返した。原因不明の病に、たった一人で向き合う直子を照らすのは(表題作)。DV男から幼い娘を守るため、平凡な母親がボクサーに。生きる力湧き上る大人のスポ根小説(「ヒット・アンド・アウェイ」)。短編小説の名手が、ありふれた日常に訪れる奇跡のような一瞬を描く。名付けようのない苦しみを抱えた現代人の心を解き放つ、花も実もある8つのエール。

ギブ・ミー・ア・チャンス(2015年10月)

「人生やりなおしたい!」と思ったことありませんか。
人生の転機を迎えた人々の悲喜こもごもを掬いあげる、笑いと涙の「再チャレンジ」短篇集。

金魚姫(2015年7月)

恋人にふられ、やりがいのない仕事に追われていた潤は、夏祭りで気まぐれにすくった琉金にリュウと名をつけた。その夜、部屋に赤い衣をまとった謎の美女が現れ、潤に問いかける。「どこだ」。どうやら金魚の化身らしい彼女は誰かを捜しているようだが、肝心な記憶を失い途方に暮れていた。突然始まった奇妙な同居生活に、潤はだんだん幸せを感じるように。しかし彼女にはある秘密があった。
温かくて切ない、ひと夏の運命の物語。

海の見える理髪店(2016年3月)

主の腕に惚れて、有名俳優や政財界の大物が通いつめたという伝説の理髪店。僕はある想いを胸に、予約をいれて海辺の店を訪れるが…「海の見える理髪店」。独自の美意識を押し付ける画家の母から逃れて十六年。弟に促され実家に戻った私が見た母は…「いつか来た道」。人生に訪れる喪失と向き合い、希望を見出す人々を描く全6編。父と息子、母と娘など、儚く愛おしい家族の小説集。第155回直木賞受賞作。

ストロベリーライフ(2016年9月)

突然、父親が倒れ帰省した望月恵介が手渡されたのは『農業相続人の手引き』と『いちご白書』(苺栽培の教本)。音信不通の間に、野菜農家である父親は多額の設備投資をし、苺栽培を始めていたのだ!
後を継ぐことを迫る母親。しかし、恵介は東京の生活、グラフィックデザイナーとしての夢を捨てられない。何より農業なんてかっこ悪い。
37歳。人生の岐路に立たされた恵介は、試しに父親のハウスに生った苺を囓る。 「あ。何これ。うまい。」
採れたての苺はいままで食べた苺のなかで一番甘くて、おいしかった。
父親の苺に心を動かされ、恵介はしばらく実家を手伝うことを決意する。
ところが、今度は東京にいる妻・美月との間にスキマができ始め……
甘い苺づくりに夢をかける望月農園の”甘くな~い”お仕事小説。

海馬の尻尾(2018年1月)

時代は2度目の原発事故から2年、恐怖と不安が社会に蔓延している。3年前に2度目の務めを終えた男は、その酒乱を見るに見かねた若頭に、アルコール依存症を治すよう大学病院行きを命じられた。検査の結果、記憶除去療法で有名だという医師から、恐怖という概念が自分に関しても他人に対しても薄い、要するに良心がないと言われ病名を告げられた。人間、どこまで変われるのか……。

逢魔が時に会いましょう(2018年4月)

大学4年生の高橋真矢は、映画研究会在籍の実力を買われ、アルバイトで民俗学者・布目准教授の助手となった。布目の現地調査に同行して遠野へ。“座敷わらし”を撮影するため、子どもが8人いる家庭を訪問。スイカを食べる子どもを数えると、ひとり多い!? 座敷わらし、河童、天狗と日本人の心に棲むあやしいものの正体を求めての珍道中。笑いと涙のなかに郷愁を誘うもののけ物語。

それでも空は青い(2018年11月)

バーテンダーの僕は、骨折で入院した先の看護師の彼女に恋をした。退院後、何度かバーを訪ねてくれたものの、バツイチ7歳年上の彼女との距離はなかなか縮まらない。なぜなら彼女は“牛男”と暮らしているようで……(「僕と彼女と牛男のレシピ」)。

人間関係に正解なんてない――
人づきあいに悩む背中をそっと押してくれる7つの物語。

楽園の真下(2019年9月)

日本でいちばん天国に近い島といわれる「志手島」は、本土からは船で19時間、イルカやクジラの泳ぐコーラルブルーの海に囲まれ、亜熱帯の緑深い森に包まれている。

そんな楽園で、ギネス級かもしれない17センチの巨大カマキリが発見された。
びっくりな動物図鑑』を執筆中だったフリーライターの藤間達海は、取材のため現地を訪れるが、 志手島には楽園とは別の姿があった。

2年間で12人が、自殺と思しき水死体で発見されており、ネットでは「自殺の新名所」と話題になって「死出島」と呼ばれていたのだ。
かつて妻を自殺で失った藤間は、なぜ人間は自ら命を絶とうとするのかを考え続けており、志手島にはその取材も兼ねて赴いていた。

やがて島で取材を続ける藤間の身の回りでも不審死が……。

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