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8月15日に74回目の終戦の日を迎えました。
そこで今回の記事では戦争に関係した小説や漫画作品の中からおすすめのものを紹介したいと思います。
戦争を題材にした本を読むのはなかなか精神的につらいものがありますが、終戦の日に前後して読まれるのはいかがでしょうか。
終戦記念日に読みたい小説
少年H
神戸の海辺の町に「H」と呼ばれた少年がいた。父親は洋服の仕立て職人。母親は熱心なクリスチャン。二つ年下の妹の四人家族。Hが小学五年生のとき、戦争が始まった。父親がスパイ容疑で逮捕され、Hが大好きな映写技師のお兄ちゃんも、召集を逃れて自殺する。戦争の影が不気味に忍びよってくる。Hは何を見て何を感じたか?戦争を子供の視点で描いた感動の超ベストセラー。
小学生の時に太平洋戦争を迎えた妹尾少年が主人公です。そんな妹尾少年の目から見た戦争を描いていきます。
小学生視点なので戦場の悲惨な描写などはなく、大人が変化していく様子だったり、横文字がどんどん使えなくなっていったりと日常生活の変化が描かれています。
10代のときに読んでおくのがおすすめです
海と毒薬
戦後74年が経ち、戦争を経験した人のうち、実際に兵士として戦場に行かれた方、兵器開発に携わっていた方というのはその多くが亡くなられたことと思います。
そういった加害者側の歴史を描いた作品が「海と毒薬」です。
米国人捕虜に生体解剖を行った戦時中の九州大学生体解剖事件をモチーフに、解剖に携わった医師達の心情を描いたこの物語。
「戦時中、周りの人間がどんどん死んでいくような世の中になれば自分も流されて残虐なことをするのでは…」
重いテーマですが、きっと忘れられない読書体験になると思います。
指の骨
新たに芥川賞作家となられた高橋弘希さんのデビュー作です。
舞台は南方の島にある野戦病院。戦闘の描写もありますが、多くのページがこの病院での日々に割かれています。作者はもちろん戦争を体験していない世代ですが妙なリアリティーを感じさせられる小説です。
野火
兵士でありながら病ゆえに兵士を拒否された人間がフィリピンの原野に投げ出され、全くの孤独と不安の中で自然と自己を凝視しつつ到達した地点は…。戦争を描きながら戦争小説を超えた文学として高く評価されている『野火』。
戦争文学の金字塔と言われています。
敗残兵がさまよって歩く様子を一人称で追いかけ、極限的な状況における人間の心理を描いた作品です。
すでに日本軍の敗色は濃厚で、どうしようもない…というくらい戦況は悪化しています。
戦争文学なのですが、自らの所属する場所から追い出されて途方に暮れる人の話とも読めます。
銃口
昭和元年からその終わりまで、「昭和時代」を通じて描いた作品です。
治安維持法、軍国主義による教育。言論統制…凄惨な戦場でなくても、戦争がどのような悲劇をもたらすかを表現した作品です。
終戦記念日に読みたい漫画
夕凪の街 桜の国
昭和三十年。灼熱の閃光が放たれた時から十年。ヒロシマを舞台に、一人の女性の魂が大きく揺れた。最もか弱き者たちにとって、戦争とは何だったのか、原爆とは何だったのか…。著者渾身の問題作。第9回手塚治虫文化賞新生賞・第8回文化庁メディア芸術祭大賞を受賞。
この作品はきっとこれからも長く読み継がれることになるでしょう。
被爆を直接体験した世代と、その後直接には知らない世代の2つが描かれます。
原爆によって、広島で何人が亡くなった。長崎で何人が亡くなった。そういう数字だけの知識だけではなく、一人の視点から原爆を描くことに成功した稀有な作品です。
「夕凪の街」「桜の国」どちらもラストシーンが胸に響きます
この世界の片隅に
映画やドラマ、アニメ映画を通して、先行の「夕凪の街 桜の国」よりも有名になったかもしれませんね。
夕凪の街 桜の国」で原爆を描いたこうのさんは「原爆ではない戦争」を描くため、「この世界の片隅に」に取り掛かられました。
戦争によって世の中が暗くなっていく中でも明るさを忘れないすずさんの姿によって、戦争の見え方がまた一つ広がった気がします。
COCOON
舞台は沖縄。アメリカ軍の沖縄上陸によって、主人公たち女学校の生徒たちは学徒隊として戦場で戦う兵士たちの手助けを行うようになります。
読むのがつらい作品でした
今日マチ子さんの可愛らしい絵柄でむごたらしい戦場の様子がリアルに描かれています。
いま沖縄というと基地移転の問題や在日米軍の問題が取り上げられます。そういった政治的なイデオロギーを一度取り払って戦争を知ることができる作品だと思います。
総員玉砕せよ!
実際に兵士として南方戦線を経験された水木しげるの戦場漫画です。自身の戦争体験から様々な作品を描かれていますが、入門にはこれが一番だと思います。
一兵士の視点から、軍隊生活の日常が延々と描かれます。笑いやユーモア、上官からのしごきと軍隊生活の息抜きがひたすら描かれます。
しかしそこは凄惨な戦場。ひたすら待機したあとには敵兵との戦いが待っています。追い詰められていくうちに漂ってくる諦めの感情がやるせません。
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─
舞台はペリリュー。約10,900人の日本軍守備隊のうち、生き残ったのが捕虜約200名、生存者34名という激戦地でした。
その凄惨さゆえに作品に取り上げられることは極めて少なかったのですが、「ペリリュー ─楽園のゲルニカ─」でついに漫画化。
絵は可愛らしく。三頭身のキャラクターが戦っています。しかし、そこはペリリューです。仲間はどんどん死んでいきますし、生存者たちもどんどん追い詰められていきます。
絵柄で凄惨な描写はだいぶ緩和されているため読みやすいと思います。
激戦地であることを知っていると、兵士たちが少しのことを喜んでいたりすることが妙に悲しくなりますね。
おわり
今回は「終戦記念日に読みたい本」ということで、かなり重い雰囲気の本が並びました。
戦争を包括的に描くことは無理だとも言われています。今回紹介した本の登場人物たちは様々。実際に銃を持って敵軍と戦った人もいれば、戦争が終わってから生まれた人もいます。
そんな様々な登場人物の人生を追体験できるのが小説や漫画のいいところではないでしょうか。