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雪沼とその周辺の作品情報
- タイトル
- 雪沼とその周辺
- 著者
- 堀江敏幸
- 形式
- 小説
- ジャンル
- 純文学
- 執筆国
- 日本
- 版元
- 新潮社
- 初出
- 下記
- 刊行情報
- 新潮文庫
- 受賞歴
- 第29回川端康成文学賞
第8回木山捷平文学賞
第40回谷崎潤一郎賞
雪沼とその周辺のあらすじ(ネタバレなし)
山あいの静かな町・雪沼で、ボウリング場、フランス料理屋、レコード店などを営む人々の日常や、その人生の語られずにきた甘苦を綿密な筆づかいで描く連作短編集。
雪沼とその周辺の目次
- スタンス・ドット
- イラクサの庭
- 河岸段丘
- 送り火
- レンガを積む
- ピラニア
- 緩斜面
作者
堀江 敏幸 ほりえ・としゆき(1964年1月3日 – )
小説家、フランス文学者。早稲田大学教授。 岐阜県多治見市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科フランス文学専攻博士課程単位取得退学。1994年より、フランス留学経験を随筆風に綴った『郊外へ』を連載し、小説家デビュー。 2001年『熊の敷石』で第124回芥川賞受賞。
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雪沼とその周辺の刊行情報
雪沼とその周辺の感想・解説・評価
寂れた田舎町を描いた穏やかな短篇集
本作の登場人物は、いずれも老いを隠せなくなってきた人物ばかりである。長い人生を送ってきた中で、辛い過去を経験し哀愁を感じさせる人物ばかりだ。だが、みすぼらしいとか、読んでいて哀しくなってくるというわけではない。彼らは過去を抱えながらも一様に前に進もうと奮闘しているのである。
本作の舞台は、都会から忘れられていそうな、スキー場も潰れてしまった土地である。人々が過労を極めた一番目の人生を終えた後二番目の人生の舞台として選ばれるのがこの雪沼である。自然に恵まれ、人々の優しさにも恵まれた人情味ある町といえばいいと思う。
そんな町に住んでいる人たち、どこかから移ってきた人たちの性格はとても穏やかだ。見習うべきともいえるような穏和さが、この作品の最大の魅力とも言える。
本作の中ではこれといった事件が起きるわけではない。日常の一ページを切り取ったような風景やストーリーが展開される。その小説世界はとても静かだ。
悪く言えば地味だとも思われかねない小説である。しかし「何を言いたいのか分からない」、「意味不明」、「だらだらと続いて全くおもしろくない」などとは思わない。一見平凡な日常の話が楽しめるのだ。作者の筆力を感じられて読者からすればうれしいところだ。
合わせて読みたい本
河岸忘日抄
ひとりの老人の世話で、異国のとある河岸に繋留された船に住むことになった「彼」は、古い家具とレコードが整然と並ぶリビングを珈琲の香りで満たしながら、本を読み、レコードを楽しむ。
緩やかな生活の描写が心地よい小説です。作者の素晴らしい文章を楽しみたいのならこちらがおすすめです。
雪沼とその周辺の評判・口コミ・レビュー
堀江敏幸『雪沼とその周辺』読了。もうほんとに巧妙すぎる。その一言につきる。記憶による視覚的イメージの連鎖というか転化がほんとに見事としか言いようがない。この連作短編ではその転化が大小かなり詰め込まれていて、それが堀江の魅力だと思っている自分にとっては、もう満足のひとことにつきる。 pic.twitter.com/j7Nms6YEPY
— 読書狂う (@hiedanoare0924) 2018年5月10日
雪沼とその周辺 / 堀江敏幸 読了
— Nyankov (@nyankovx) 2019年4月12日
「雪沼」という架空の町周辺に住む人々の連作短篇。何かを失っても何かが足りなくても日々は淡々と続く。定まった道を進みほかの誰かの道には行けないし、誰も追い越さない追い抜かされない。それでも見えている風景はほんの少しずつ変わっていく。 pic.twitter.com/rg7V6esu1m
堀江敏幸「雪沼とその周辺」読了。山間の寂れた町を舞台とした、全7編連作短編集。廃業、死者の最期の言葉の謎、老いた職人、亡き子への追悼、劣等感をバネにした仕事への情熱、真摯な勤務姿勢、亡き友への懐古と、不器用でも懸命に生きる人々。ささやかであっても、それもまた、素晴らしき哉、人生! pic.twitter.com/Kf42DSDTYy
— ナツメ (@kafspri) 2018年4月2日
『雪沼とその周辺』堀江敏幸著読了です。大きな事件なんてない、雪沼の暮らし。人生の折返し地点もとうに過ぎた人々の、懐かしいような、寂しいような日々の営みが静かに綴られています。歳をとり、過去に想いを馳せるようになったら、もう一度読み返したい。 pic.twitter.com/qvDEChuLad
— 葉月 (@ParolesLes) 2018年12月6日
『雪沼とその周辺』堀江敏幸
— ゆたか (@W3nQc9) 2019年8月20日
架空の町「雪沼」を舞台に、そこで暮らす人々とその過去を描いた連作短編。
都会から離れた寂びた街並みといい、旧式の道具に囲まれた生活様式といい、時代錯誤な世界観が幻想的かつ魅力的。住んでみたくなりました。#読了 pic.twitter.com/DLyRJ2X3IH