【初心者にもおすすめ】死ぬまでに読みたい海外文学100選【小説メイン】その10

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【初心者にもおすすめ】死ぬまでに読みたい海外文学100選【小説メイン】その1」のラストとなります。まず最初の記事からご覧ください。

ルールとしては、「一人一作品」ということにしています。そうしないとドストエフスキー、カフカ、ガルシア=マルケスなど有名作家の作品が複数入ってしまうので。

記事では執筆された年代順に10冊ずつ紹介していきたいと思います。

死ぬまでに読みたい海外文学100選91~100冊

91:パトリック・モディアノ『1941年。パリの尋ね人』1997年

ナチ占領下の新聞の「尋ね人広告」。そのユダヤ人少女の足跡を、10年の歳月をかけて現代に追い求め、フランスを感動の渦に巻き込んだ傑作!

https://sakuhinsha.com/oversea/3070.html
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小説を読んでいると、「世の中にはこんなにすごい書き手がいるのか…」と衝撃を受ける事があります。僕にとってそれはガルシア=マルケスであり、パトリック・モディアノでした。

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「ナチス占領下のパリ」「ユダヤ人少女」。それらのキーワードを持つこの小説が明るいものであるはずはありません。

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1941年。パリの尋ね人』を読んでいると、モディアノの持つ熱量やエネルギーに圧倒されます。そのような読書体験はそうそうありません。

92:ミシェル・ウエルベック『素粒子』1998年

人類の孤独の極北に揺曳する絶望的な“愛”を描いて重層的なスケールで圧倒的な感銘をよぶ、衝撃の作家ウエルベックの最高傑作。文学青年くずれの国語教師ブリュノ、ノーベル賞クラスの分子生物学者ミシェル―捨てられた異父兄弟の二つの人生をたどり、希薄で怠惰な現代世界の一面を透明なタッチで描き上げる。充溢する官能、悲哀と絶望の果てのペーソスが胸を刺す近年最大の話題作。

https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480421777/
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この小説をどう紹介すればいいのか、ちょっとわからないんです。一つ言えるのは、人生に悲観し、打ちひしがれるようにして生きている人にこそ読んで欲しいということ。

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序盤で合わないなと思っても、最後まで諦めずに読んでみてください。

93:イアン・マキューアン『アムステルダム』1998年

ロンドン社交界の花形モリーが亡くなった。痴呆状態で迎えた哀れな最期だった。夫のいる身で奔放な性生活をおくった彼女の葬儀には、元恋人たちも参列。なかには英国を代表する作曲家、大新聞社の編集長、外務大臣の顔も。やがてこの三人は、モリーが遺したスキャンダラスな写真のために過酷な運命に巻き込まれてゆく。辛辣な知性で現代のモラルを痛打して喝采を浴びたブッカー賞受賞作!

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読んでいておもしろいんですが、精神的に疲れました。というのも登場人物が合わないというか、絶対友達にならないようなキツいタイプ。

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現代って、人間関係って、友情って、人生って…とか難しいことを考えずにさらっと読んだ方が楽しめるのかな。

94:オルハン・パムク『わたしの名は赤』1998年

1591年冬。オスマン帝国の首都イスタンブルで、細密画師が殺された。その死をもたらしたのは、皇帝の命により秘密裡に製作されている装飾写本なのか……? 同じころ、カラは12年ぶりにイスタンブルへ帰ってきた。彼は件の装飾写本の作業を監督する叔父の手助けをするうちに、寡婦である美貌の従妹シェキュレへの恋心を募らせていく――

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オルハン・パムク『わたしの名は赤』はもうとにかくおもしろいんですよ。とにかく読んでみてほしい。

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様々な語り手が入れ替わり、一人称で物語を進めていきます。世界史、美術好きならたまらない仕掛けも。語り手が交代しても難しいことはなく、ただただおもしろくなっていく。そんな語り手ありなんだなと驚きもしました。

95:デイヴィッド・ミッチェル『ナンバー9ドリーム』2001年

詠爾は島を出た。東京の混沌に、まだ見ぬ父を探すため。新宿の高層ビル群に惑い、たぐり寄せては切れる細い糸に絶望し、ふとした出会いに心ときめかせる―。饒舌にして錯綜した彼の語りの果てに明かされるのは双子の姉の死、心を病む母の存在。果たして詠爾は、父と巡りあえるのか?イギリス若手作家ベスト20選出、ブッカー賞連続最終候補の気鋭が放つ、疾走と裏切り、思慕と夢幻の物語。哀切なるこの世界に捧げる鎮魂の歌。

https://www.shinchosha.co.jp/
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この本を選んだのは完全に好みです。

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東京を舞台に様々なエピソードが休むことなく挿入され、物語の奔流に押し流されます。疾走感のある文体も良い。

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ただブッカー賞最終候補止まりだったように粗さもある。ラストも意見の分かれるところでしょう。でも村上春樹のファンとしては読んでいて嬉しかったですよ。

96:莫言『白檀の刑』2001年

膠州湾一帯を租借したドイツ人に妻子と隣人の命を奪われた孫丙は、復讐として鉄道敷設現場を襲撃する。哀切な猫腔の調べにのせて花開く壮大な歴史絵巻。

https://www.chuko.co.jp/bunko/2010/09/205366.html
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読む前に「処刑の話」とだけ聞いていたので不安でした。グロいのは嫌じゃないですか。具体的な手段が書いてあったりしたら、想像してしまいますし。

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でも読んでみると「血に塗れた物語」という印象は全く受けない。「処刑」の話を読んでいるのには違いないですが、「芸術」の小説を読んだような読後感なんです。骨太の作品だけに、芯のある文学作品を味わいたいという方向けです。

97:ラッタウット・ラープチャルーンサップ『観光』2005年

美しい海辺のリゾートへ旅行に出かけた失明間近の母とその息子。遠方の大学への入学を控えた息子の心には、さまざまな思いが去来する――なにげない心の交流が胸を打つ表題作をはじめ、11歳の少年がいかがわしい酒場で大人の世界を垣間見る「カフェ・ラブリーで」、闘鶏に負けつづける父を見つめる娘を描く「闘鶏師」など全7篇を収録。人生の切ない断片を温かいまなざしでつづる、タイ系アメリカ人作家による傑作短篇集。

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ラープチャルーンサップ『観光』を読んでいると、才能という言葉が頭に浮かびます。才能がある人が書いた小説という感じがします。

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風景や街中、自然の描写の素晴らしさ。そして社会にはびこる閉塞感のような息苦しさ。そしてその中に生きている人たちの諦観。

98:リチャード・フラナガン『奥のほそ道』2013年

 1943年、タスマニア出身のドリゴは、オーストラリア軍の軍医として太平洋戦争に従軍するが、日本軍の捕虜となり、タイとビルマを結ぶ「泰緬鉄道」(「死の鉄路」)建設の過酷な重労働につく。そこへ一通の手紙が届き、すべてが変わってしまう……。
 本書は、ドリゴの戦前・戦中・戦後の生涯を中心に、俳句を吟じ斬首する日本人将校たち、泥の海を這う骨と皮ばかりのオーストラリア人捕虜たち、戦争で人生の歯車を狂わされた者たち……かれらの生き様を鮮烈に描き、2014年度ブッカー賞を受賞した長篇だ。
 作家は、「泰緬鉄道」から生還した父親の捕虜経験を題材にして、12年の歳月をかけて書き上げたという。東西の詩人の言葉を刻みながら、人間性の複雑さ、戦争や世界の多層性を織り上げていく。時と場所を交差させ、登場人物の心情を丹念にたどり、読者の胸に強く迫ってくる。
 「戦争小説の最高傑作。コーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』以来、こんなに心揺さぶられた作品はない」(『ワシントン・ポスト』)と、世界の主要メディアも「傑作のなかの傑作」と激賞している。

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読み終わってしばらくぼうっとしていました。呆然としたという方がいいかも。

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いい小説を読むと、しばらく頭の中がその小説の事で一杯になります。頭がきちんと情報を整理してくれなくてショートしてしまったのでしょう。

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しばらくぼんやりとして、次の日も、その次の日も、どことなく空しさを覚えながらこの小説のことを考えていました。

99:アンソニー・ドーア『すべての見えない光』2014年

ラジオから聞こえる懐かしい声が、若いドイツ兵と盲目の少女の心をつなぐ。ピュリツァー賞受賞作。孤児院で幼い日を過ごし、ナチスドイツの技術兵となった少年。パリの博物館に勤める父のもとで育った、目の見えない少女。戦時下のフランス、サン・マロでの、二人の短い邂逅。そして彼らの運命を動かす伝説のダイヤモンド――。時代に翻弄される人々の苦闘を、彼らを包む自然の荘厳さとともに、温かな筆致で繊細に描く感動巨篇。

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とにかく描写が美しい。浜辺から、ラジオ、缶詰、そして軍隊に至るまで。

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巧みな構成に胸を動かされ、感動して読み終わると、すぐに誰かにこの小説の良さを伝えたくなるのです。

100:アントワーヌ・ローラン『赤いモレスキンの女』2014年

男はバッグの落とし主に恋をした。手がかりは赤い手帳とモディアノのサイン本。パリの書店主ローランが道端で女物のバッグを拾った。中身はパトリック・モディアノのサイン本と香水瓶、クリーニング屋の伝票と、文章が綴られた赤い手帳。バツイチ男のローランは女が書き綴った魅惑的な世界に魅せられ、わずかな手がかりを頼りに落とし主を探し始める。英王室カミラ夫人も絶賛、洒脱な大人のおとぎ話第二弾。

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100冊目です。正直長かった。

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最後にアントワーヌ・ローランの『赤いモレスキンの女』を紹介することができてホッとしています。ロマンチックで素敵な小説、みんな好きでしょう?

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