【初心者にもおすすめ】死ぬまでに読みたい海外文学100選【小説メイン】その5

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【初心者にもおすすめ】死ぬまでに読みたい海外文学100選【小説メイン】その1」の5回目となります。まず最初の記事からご覧ください。

ルールとしては、「一人一作品」ということにしています。そうしないとドストエフスキー、カフカ、ガルシア=マルケスなど有名作家の作品が複数入ってしまうので。

記事では執筆された年代順に10冊ずつ紹介していきたいと思います。

死ぬまでに読みたい海外文学100選41~50冊

41:ジャン=ポール・サルトル『嘔吐』1938年

20世紀フランス文学の金字塔、60年ぶりの完全新訳!
港町ブーヴィル。ロカンタンを突然襲う吐き気の意味とは……
一冊の日記に綴られた孤独な男のモノローグ。

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ドストエフスキー、カフカ、カミュ。そんな作家たちの作品を読み、リストに紹介してきたとなれば、サルトルの『嘔吐』は外せないだろうと思いました。

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ですがサルトルの『嘔吐』は難しい。

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難解というよりも、読みにくい、御しにくいという印象です。

42:ジュリアン・グラック『アルゴールの城にて』1938年

20世紀フランス文学の中で特異な存在感を誇るジュリアン・グラック(1910―2007)のデビュー作。舞台は海と広大な森を控えてそそり立つ古城。登場人物は男二人と女一人。何かが起こりそうな予感と暗示――。練りに練った文章で、比喩に比喩を積み重ね、重層的なイメージを精妙な和音や不意打ちの不協和音のように響かせる。

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こういうリストを作るときに悩むのが、自分の色をどれだけ出すかということです。シェイクスピアやディケンズなら誰でも紹介するわけで、気になるのは人によって変わってくるところじゃないですか。

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アルゴールの城にて』は率直に「これを選ぶ人はどれだけいるんだろう?」とも思いました。

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ストーリーや展開を追いかけるというよりも、言葉や比喩、世界観を追いかけることになるでしょう。よく言えば壮麗で、悪く言えばダルい。よく言えば詩的な幻想に満ちていて、悪く言えばくどい。

43:ディーノ・ブッツァーティ『タタール人の砂漠』1940年

「勇気ある作家」ブッツァーティの代表作。「人生」という名の主人公が30年にわたる辺境でのドローゴの生活にいなにひとつ事件らしいものを起こさない……。20世紀幻想文学の古典。

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「孤独」を描いた文学が好きです。ドストエフスキーからクッツェー、オースター…

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今は人生を精力的に過ごしてはいなくても、「これから何かいいことがあるだろう」、あるいは「やりたいことがあるけど明日でいいか」と思っていたりしませんか?

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そんなことを期待しながら結果的に無為な日々を過ごしてしまっている人は多いでしょう。そんな人におすすめしたい作品です。きっと苦い苦い読後感を覚えることでしょうから。

44:アルベール・カミュ『異邦人』1942年

私ははじめて、世界の優しい無関心に、心をひらいた。

太陽の眩しさを理由にアラビア人を殺し、死刑判決を受けたのちも幸福であると確信する主人公ムルソー。不条理をテーマにした、著者の代表作。

母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的な一貫性が失われている男ムルソーを主人公に、理性や人間性の不合理を追求したカミュの代表作。

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読み始める前にあらすじを見たときに、僕は「こんなヤバいやつが主人公の小説なのか」と思ったことをよく覚えています。

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そんな印象で読み始めたはずなのに、読み進めて行っても、なぜか主人公の事を「変だ」とか「狂人だ」なんて思ったりしないんですよね。

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「この作品は絶対読むべき!」みたいなキャッチコピーは嫌いなんですが、『異邦人』だけは例外で、この小説にはそういう言葉を使ってもいいのかなと考えたりもします。

45:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』1943年

サハラ沙漠の真っ只中に不時着した飛行士の前に、不思議な金髪の少年が現れ「ヒツジの絵を描いて……」とねだる。少年の話から彼の存在の神秘が次第に明らかになる。一本のバラの花との諍いから、住んでいた小惑星B612を去った王子さまはいくつもの星を巡った後、地球に降り立ったのだ。王子さまの語るエピソードには沙漠の地下に眠る水のように、命の源が隠されている。肝心なことは目では見えない。心で探さないとだめなのだ……。生きる意味を問いかける永遠の名作を池澤夏樹による瑞々しい新訳でお届けします。原典の世界観を忠実に再現した横組みの本文。電子化に際し、挿絵は原典の彩色に復原しました。手のひらの中で、サンテグジュペリの描いた世界が鮮やかによみがえります。

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超有名作品で童話なので子どものときに読んだことがある方も多いんじゃないでしょうか。

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でも子どものときにこの本の良さが分かるのでしょうかと、大人になって読み返してから思うのです。

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ハッとさせられる言葉の数々はかつては考えていたが忘れてしまったことをもう一度思い出させてくれる本です。

46:ホルヘ・ルイス・ボルヘス『伝奇集』1944年

夢と現実のあわいに浮び上がる「迷宮」としての世界を描いて現代文学の最先端に位置するボルヘス(一八九九―一九八六).われわれ人間の生とは,他者の夢見ている幻に過ぎないのではないかと疑う「円環の廃墟」,宇宙の隠喩である図書館の物語「バベルの図書館」など,東西古今の神話や哲学を題材として精緻に織りなされた魅惑の短篇集.

https://www.iwanami.co.jp/book/b248478.html
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ボルヘスは結構難しいと思います。

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短篇小説や詩ばかりなので最後まで通読できないということはありません。その解釈に首をひねるのです。咀嚼しにくい。

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そんな僕でも「バベルの図書館」を読むとワクワクするんです。『砂の本』の「他者」とかも。多くの作家が影響を受けたのも頷けます。

47:アガサ・クリスティ『春にして君を離れ』1944年

優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバクダードからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる……女の愛の迷いを冷たく見すえ、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。

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ミステリーの女王であるアガサ・クリスティからは『春にして君を離れ』を。

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ミステリファン、推理小説ファンの方からしたら、「なんでこれなんだよ」という感じかもしれませんね。『アクロイド殺し』でも『オリエント急行の殺人』でも『そして誰もいなくなった』でもないわけですから。

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殺人事件は起きませんし、名探偵が事件を解決するわけでもありません。列車がトラブルで来ない中、駅で待つ女性が回想をする。ただそれだけです。

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理想の家庭像、家庭の人間関係について思いを巡らせるうちに、読者は哀しくもなり、怖くもなり、不安になり、恐怖を覚え…心理描写が優れた作品です。

48:トルーマン・カポーティ『遠い声 遠い部屋』1948年

心は万物(すべてのもの)よりも偽るものにして甚(はなは)だ悪(あし)し
誰(たれ)かこれを知るをえんや――エレミヤ記 第17章

カポーティを「天才少年作家」と位置付けた、眩いばかりの処女長編。

父親を探してアメリカ南部の小さな町を訪れたジョエルを主人公に、近づきつつある大人の世界を予感して怯えるひとりの少年の、屈折した心理と移ろいやすい感情を見事に捉えた半自伝的な処女長編。戦後アメリカ文学界に彗星のごとく登場したカポーティにより、新鮮な言語感覚と幻想に満ちた文体で構成されたこの小説は、発表当時から大きな波紋を呼び起した記念碑的作品である。

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カポーティ『遠い声 遠い部屋』を読んで衝撃を受けたことをよく覚えています。

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それまでに読んだどんな小説とも文章が違っていたのです。翻訳でもその違いがよくわかりました。単語の組み合わせが違うんです。全部が知っている単語なのに、その組み合わせである文章は全く見たことがないものでした。

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天才はこういう小説を書くのかと思い知らされたような気がします。

49:ジョージ・オーウェル『1984年』1949年

〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する超全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは、真理省記録局で歴史の改竄に従事していた。彼は奔放な美女ジュリアとの出会いを契機に、伝説的な裏切り者による反政府地下活動に惹かれるようになる。

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リストにあるSF作品の中で一番好きな小説が『1984年』です。

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「憎悪習慣」「思考警察」「反セックス青年同盟」「ブラザー同盟」「表情犯罪」など様々なパワーワードが印象的です。

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70年以上前の小説ですが、「二重思考」みたいに現代の日本で現役バリバリの事案が出てきたりしているところがおもしろいんですよね。ディストピア小説なのに、現代の日常生活にダブっているところがちらほらあるんです。

50:レイ・ブラッドベリ『火星年代記』1950年

人類は火星へ火星へと寄せ波のように押し寄せ、やがて地球人の村ができ、町ができ、哀れな火星人たちは、その廃墟からしだいに姿を消していった……抒情と幻想の詩人が、オムニバス中・短篇によって紡ぎあげた、SF文学史上に燦然と輝く永遠の記念碑。

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タイトルの通り、火星を舞台にしたSF作品です。

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なんですが、その中身を読んでみれば、ファンタジー要素もあり、詩的な要素もあり、風刺もありと単なるSF小説の枠を超えた器を持っている作品だと思います。

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つまりこの時代には一般的でなかったコンピューターなどのハイテク機器を駆使して宇宙を冒険することが主題の小説ではないのです。地球人と火星人のやり取りに読み応えがあるのです。結局地球人は宇宙に出て行っても、地球上で起こしたようないざこざを繰り返すのかもしれませんね。

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