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キッドナップ・ツアー(角田光代)の作品情報
- タイトル
- キッドナップ・ツアー
- 著者
- 角田光代
- 形式
- 小説
- ジャンル
- 児童文学
- 執筆国
- 日本
- 版元
- 新潮社
- 初出
- 書き下ろし
- 刊行情報
- 新潮文庫
- 受賞歴
- 第46回産経児童出版文化賞フジテレビ賞
第22回路傍の石文学賞
キッドナップ・ツアー(角田光代)のあらすじ・概要
作者
角田 光代 かくた・みつよ(1967年3月8日 – )
小説家。神奈川県横浜市出身。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。大学在学中の1988年、彩河杏名義で書いた「お子様ランチ・ロックソース」で上期コバルト・ノベル大賞受賞しデビュー。ただ希望のジャンルではなかったという。1990年「幸福な遊戯」で第9回海燕新人文学賞を受賞し、角田光代としてデビューする。数度芥川賞の候補に挙がったのち、2005年『対岸の彼女』で第132回直木賞を受賞した。
キッドナップ・ツアー(角田光代)の刊行情報
- 『キッドナップ・ツアー』理論社、1998年11月
- 『キッドナップ・ツアー』新潮文庫、2003年6月
ドラマ版、舞台版関連動画
テレビドラマ『キッドナップ・ツアー』2016年8月2日
【なつかしの番組】「夏休みドラマ キッドナップ・ツアー」(2016年)~ブラックな設定のドラマ特集~夏休み、母と別居中の父親にユウカイされた小学5年生のハル。父親はだらしなくて、情けなくて、お金もない。父娘の“旅”をコミカルに描いた夏休み物語♪ https://t.co/gm5g9uJCOK #妻夫木聡 #豊嶋花
— NHKアーカイブス (@nhk_archives) 2018年7月21日
よる7時30分じゃよ RT @shinchobunko 8月2日よる8時からNHK総合で放送される夏休みドラマ「キッドナップ・ツアー」の試写&制作発表に行ってきました。原作者・角田光代さんも涙するほどの、大感動の出来栄えでした! pic.twitter.com/5cJ80C1A6U
— kakuta mitsuyo (@Kakutamitsuyo) 2016年7月26日
舞台『キッドナップ・ツアー』2018年8月25日
キッドナップ・ツアー(角田光代)の登場人物
ハル
小学校5年生。ある日、失踪中の父に誘拐される。
父
失踪していた。実の娘であるハルを「誘拐」し、様々な場所へと連れ回す。
キッドナップ・ツアー(角田光代)の感想・解説・評価
自由と遠慮のある”誘拐旅行”
tourという英単語の意味はご存じでしょう。旅行です。では、kidnapという英単語の意味はご存じでしょうか。その意味は「誘拐」です。本作の題はいわば「誘拐旅行」なのです。
ですが、決して物騒なことではありません。主人公のハル(女子)を誘拐するのは、実の父親なのです。そして、学生の貧乏旅行のような小旅行を2人で行います。海へ行き、宿坊して、肝試しをします。そして、バーベキューをして、拾ったテントでキャンプをし、自転車泥棒をします。そんな物語です。
父はとある事情からしばらくの間”失踪”しており、2人の間には少し遠慮があります。父は実の娘のことを「あんた」と呼びます。父の仕事は忙しく、そのため、ほとんど会えないのです。主人公のハルのほうも、父と2人っきりになると緊張してしまいます。
大人向けの”児童文学”
この小説では登場人物の年齢や関係が、明確に説明されません。物語は小学5年生のハルの視線で進んでいくため、「キャラクターとお父さんがどんな関係なのか?」ということはわかりません。親切な人達との出会いと別れを繰り返しつつ旅行は進んでいきます。
ハルの視点では、「失踪している」というお父さんとお母さんの関係もよくわかりません。上手くいっているのかもしれないし、離婚してしまうのかもしれない。お母さんが、お父さんとハルの関係を気にして旅行に行かせたとも読めますし、離婚前に最後の思い出作りをさせたとも読めます。
物語の最後で父はハルだけを家に帰らせ、自分はただ手を振っています。そんな本作で描かれるのは、親子の関係であり、子どもと大人の関係です。旅行の中で2人は気持ちを通じ合わせ、仲良くなります。実の親子ですが、仲良くなるのです。
この小説は児童文学というジャンルです。ですが、子どもではなく大人にこそ読んでもらいたい小説です。