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ワールドカップ初出場までの道程を克明につづった渾身のノンフィクション。
決戦前夜 Road to FRANCE(金子達仁)の作品情報
- タイトル
- 決戦前夜 Road to FRANCE
- 著者
- 金子達仁
- 形式
- ノンフィクション
- ジャンル
- サッカー
- 執筆国
- 日本
- 版元
- 新潮社
- 執筆年
- 不明
- 初出
- 不明
- 刊行情報
- 新潮文庫
決戦前夜 Road to FRANCE(金子達仁)のあらすじ・概要
W杯最終予選71日間、忘れられない全記憶。
作者
金子 達仁 かねこ・たつひと(1966年1月26日 – )
スポーツライター、ノンフィクション作家。神奈川県横浜市出身。法政大学社会学部卒業。大学卒業後、当時『サッカーダイジェスト』の編集者だった富樫洋一の誘いで日本スポーツ企画出版社に入社、『スマッシュ』、『サッカーダイジェスト』の編集を務める。1997年、サッカー・アトランタオリンピック代表を取材した、『28年目のハーフタイム』でミズノスポーツライター賞受賞。その後、サッカーを中心に多数のノンフィクション作品を手がける。
決戦前夜 Road to FRANCE(金子達仁)の刊行情報
- 『決戦前夜 Road to FRANCE』新潮社、1998年2月
- 『決戦前夜 Road to FRANCE』新潮文庫、2000年2月
決戦前夜 Road to FRANCE(金子達仁)の登場人物
中田英寿
サッカー日本代表。MF・FW。若き天才として初のワールドカップを目指す日本代表の中盤を率いる。
川口能活
サッカー日本代表。GK。本作では、自己嫌悪・人間不信や、高校生に馬鹿にされたこと、そこから恩師の手紙で立ち直ったことを告白している。
加茂周
サッカー日本代表監督。フランスワールドカップ最終予選を戦う日本代表の指揮を執る。しかし成績不振を理由に更迭。著者も批判的である。
岡田武史
サッカー日本代表監督。加茂監督更迭後の日本代表を率いる。初のワールドカップ出場を勝ち取るが、著者は批判的である。
決戦前夜 Road to FRANCE(金子達仁)の感想・解説・評価
初のW杯出場を勝ち取った日本代表を取材したノンフィクション
本作は、「ジョホールバルの歓喜」として日本サッカー史に残るイラン戦や、ソウルでの韓国戦など、フランスワールドカップ予選の激戦を戦う日本代表を扱ったノンフィクションである。
当時、日本代表には名選手と呼ばれる選手が多くいた。井原正巳、秋田豊、相馬直樹、名良橋晃、名波浩、北澤豪、三浦知良、中山雅史、城彰二…当時を直接知らない僕でも名前を聞いたことのある選手ばかりだ。
そして、なにより20歳の中田英寿と22歳の川口能活がいた。のちに彼らはフランス、日韓、ドイツとワールドカップを戦う日本代表の中心メンバーになる。
本作でも、そんな中田英寿と川口能活を中心として代表の奮闘ぶりを描いていく。2人の苦闘と成長が描かれているのだ。テレビやインタビューでは伝わってこない正直な思いが語られており、本作を読まないと分からないことも多い。
中田と川口を主人公的に描いている
本作はフランスW杯のアジア最終予選を戦った日本代表の実情を取材したノンフィクションである。
だから日本代表メンバーやスタッフを均等に扱っているかというとそんなことはなく、若い中田英寿と川口能活を中心に構成されている。
著者は中田と川口に独自にインタビューを行い、当時の心境や周囲の環境について真実を綴っている。それらの情報は貴重な物であり、本書を読まない限りは知りえないものだ。
しかしそれは中田と川口を評価し、反対にカズを批判するという構図も生み出している。「取材をしたから高評価が生まれる」のではなく、「親しいから評価が高くなり、そのことを裏付けるために取材をしたのでは」という邪推も生まれかねない。
だが、最終予選各試合の内容を記述した詳細レポートの出来は素晴らしく高い。前述のように本作を読まないことには分からないような取材結果もある。ノンフィクションとしての水準をひどく損なうものではないだろう。
合わせて読みたい本
28年目のハーフタイム
いわば『決戦前夜 Road to FRANCE』の前日譚ともいえる本。1996年アトランタ五輪を戦う若き日本代表を取材した一冊。
28年ぶりにオリンピックへとコマを進めた日本代表は、中田・川口を中心に王国ブラジルを破る大金星を挙げるが、そのチームは万全というわけではなかった。
フランスワールドカップ最終予選の前年に何が起こっていたのを知ると本作がより楽しめると思う。