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第15回小説すばる新人賞を受賞した作者のデビュー作。
プリズムの夏(関口尚)の作品情報
- タイトル
- プリズムの夏
- 著者
- 関口尚
- 形式
- 小説
- ジャンル
- 青春
恋愛 - 執筆国
- 日本
- 版元
- 集英社
- 初出
- 不明
- 刊行情報
- 集英社文庫
- 受賞歴
- 第15回小説すばる新人賞
プリズムの夏(関口尚)のあらすじ・概要
ぼくらは映画館で知り合った!どこまでも透明な、ひと夏の青春。第15回小説すばる新人賞受賞作。
作者
関口 尚 せきぐち・ひさし(1972年9月19日 – )
小説家。栃木県下都賀郡岩舟町生まれ。茨城大学大学院人文科学研究科修了。2002年、『プリズムの夏』で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。
プリズムの夏(関口尚)の刊行情報
プリズムの夏(関口尚)の登場人物
「ぼく」
主人公。高校三年生。映画館で働く松下さんに恋をしている。
松下さん
映画館のアルバイト。うつ病日記をネットで書く「アンアン」ではないかと予測される。
プリズムの夏(関口尚)の感想・解説・評価
良くも悪くもシンプルな恋愛小説
主人公は高校三年生。映画館で働く年上の女性に片想いをするも、けんもほろろ。ネット上のブログを書いているのが、その松下さんではないかと考え始める。そんなストーリーです。
本作は作者のデビュー作ですが、とてもシンプルな青春小説、恋愛小説に仕上がっています。反対に言えば、シンプルすぎてあっさりしすぎているとも言えます。
僕が初めて本作を読んだときは、主人公たちと同じく高校三年生でした。それでも、主人公たちに共感することができませんでした。無鉄砲なようで、冷静であり、不真面目なようで、計画性がある。高校生らしさはたくさん見受けられますが、現役高校生の目から見ると「こんな奴いんのかよ?」などと思えてしまいました。
そんな主人公たちが想いを寄せる松下さんの態度も素直に受け取れませんでした。出会ったばかりのときは素っ気なく、気を許してからは急に親しげになります。読者としても上手く受け取れなったというのが正直なところです。
高校生の成長を描いた青春小説
本書の良い点は、主人公の成長を描いた点でしょう。精神的な成長が見られるのですが、その表現がとても自然でした。高校生の目から見ても好感が持てるものです。
また松下さんに対して、読者が抱くであろう疑問をあえて主人公に言わせるというのもストレートな青春小説として素晴らしい。高校生という、大人な面と子どもな面を持ち合わせている年代を素直に書いていると思います。