【おすすめ】桐野夏生の全作品を一覧であらすじを紹介します

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桐野 夏生 きりの・なつお(1951年10月7日 -)

小説家。石川県金沢市生まれ。成蹊大学法学部卒。映画館や広告代理店で働いたのち結婚。脚本家の向田邦子のファンだったことから、シナリオ学校への通学、フリーライターとして活動をスタート。1984年、第2回サンリオロマンス賞に応募した『愛のゆくえ』が佳作入選し、小説家としてデビュー。野原野枝実や桐野夏子のペンネームでロマンス小説、ジュニア小説の執筆を手掛けたのち、ミステリー小説を執筆するようになる。ミステリー小説第一作として応募した『顔に降りかかる雨』で第39回江戸川乱歩賞を受賞。1998年、『OUT』で第51回日本推理作家協会賞を受賞。同作は7年後に米国エドガー賞にノミネートされ、国際的にも高い評価を得た。1999年、『柔らかな頬』で第121回直木三十五賞を受賞。2015年に紫綬褒章を受章。

おすすめ作品ランキング

長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!

  • 1位:OUT
  • 2位:メタボラ
  • 3位:水の眠り 灰の夢

作品一覧リスト

※桐野夏子名義、野原野枝実名義を含むロマンス小説やジュニア小説は紹介していません。

村野ミロシリーズ(1993年9月~2002年10月)

顔に降りかかる雨(1993年9月)

親友のノンフィクションライター宇佐川耀子が、1億円を持って消えた。大金を預けた成瀬時男は、暴力団上層部につながる暗い過去を持っている。あらぬ疑いを受けた私(村野ミロ)は、成瀬と協力して解明に乗り出す。二転三転する事件の真相は?女流ハードボイルド作家誕生の’93年度江戸川乱歩賞受賞作!

  • 👑第39回江戸川乱歩賞

天使に見捨てられた夜(1994年6月)

AVでレイプされ、失踪した一色リナの捜索依頼を受けた村野ミロは、行方を追ううちに業界の暗部に足を踏み入れた。女性依頼人が殺害され、自身に危険が及ぶ中、ようやくつかんだリナ出生の秘密が、事件を急展開させる。乱歩賞受賞直後に刊行された圧巻の社会派ミステリー。「ミロシリーズ」第2弾!

水の眠り灰の夢(1995年10月)

オリンピック前夜の熱を孕んだ昭和38年、東京。連続爆弾魔を追う週刊誌記者・村野は、女子高生殺しの容疑者にされてしまい、やがてとある疑惑へと辿り着く――。

地下鉄爆破に遭遇した村野は連続爆弾魔・草加次郎事件を取材していた。村野は女子高生・タキとの出会いを通じ、殺人事件に巻き込まれていく。高度成長の歪みを抱えたまま変貌する東京を舞台に、炙り出されたおぞましい真実とは。孤独なトップ屋の魂の遍歴を描いた傑作ミステリー。

ローズガーデン(2000年6月)

高校二年生のあの日。薔薇(ばら)が咲き乱れる自宅のベッドで、ミロの口から「義父と寝た」という驚くべき話を聞かされた。「俺」は激しい嫉妬に囚(とら)われ興奮した──。ジャカルタで自殺した前夫・博夫の視点で、村野ミロの妖艶な青春時代を描いた表題作など、4つの事件簿からなる短篇集。「ミロシリーズ」第3弾!

ダーク(2002年10月)

「私の中の何かが死んだ」出所を心待ちにしていた男が四年前に獄中自殺していた。何も知らされなかった村野ミロは探偵を辞め、事実を秘匿していた義父を殺しにいく。隣人のホモセクシャルの親友。義父の盲目の内妻。幼い頃から知っている老ヤクザ。周囲に災厄をまき散らすミロを誰もが命懸けで追い始めた。

ファイアボール・ブルースシリーズ(1995年1月~2001年8月)

ファイアボール・ブルース(1995年1月)

女にも荒ぶる魂がある、闘いたい本能がある!
女子プロレス界に渦巻く陰謀を描く傑作長篇ミステリー。

「ファイアボール」と呼ばれる女子プロレス界きっての強者・火渡抄子、といまだに一勝もできない付き人の近田は、外国人選手の失踪事件に巻き込まれる。
新人のリンチ事件、事務所の独立問題……トラブル続出の中、後楽園ホールの試合が近づいてくる。女子プロレス界に渦巻く陰謀と、女の荒ぶる魂を描く長篇ミステリー。

ファイアボール・ブルース2(2001年8月)

荒ぶる魂を持つ女たちの強さと弱さ、そして優しさ。
己の限界を感じた時、彼女が選んだ道とは?

女子プロレス界きっての強者・火渡抄子。人は彼女を「ファイアボール」と呼ぶ。
火渡に憧れ入門し、付き人になった近田だが、仲の良かった同期・与謝野の活躍を前に、自分の限界が頭にかすめる。
そんな折、火渡が付き人を替えると言い出した。 近田は自分にどうケジメをつけるのか。
女の荒ぶる魂を描いたシリーズの完結篇となる連作短編集。

OUT(1997年7月)

深夜の弁当工場で働く主婦たちは。それぞれの胸の内に得体の知れない不安と失望を抱えていた。「こんな暮らしから抜け出したい」そう心中で叫ぶ彼女たちの生活を外へ導いたのは、思いもよらぬ事件だった。なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?犯罪小説の到達点!

  • 👑第51回日本推理作家協会賞
  • エドガー賞最優秀作品賞ノミネート(最終候補)

錆びる心(1997年11月)

「家出するなら夫の誕生日にしようと心にきめていた……」
人間のダークサイドを炙り出した作品集。

十年間堪え忍んだ夫との生活を捨てて家政婦となった主婦。囚われた思いから抜け出して初めて見えた風景とは。(錆びる心)
劇作家にファンレターを送り続ける生物学教師の“恋”を描いく。(虫卵の配列)
荒廃した庭に以上に魅かれる男の内面に秘められたもの。(月下の楽園)

魂の渇きと孤独を鋭く抉り出した六つの物語。

ジオラマ(1998年11月)

ベルリンのガイドで生計を立てる、美貌の男、カール。地方銀行に勤める平凡な会社員、昌明。金のため男に抱かれることに疲れ始めた、カズミ。退屈な生活。上下運動を繰り返す、エレベーターのような日々。しかし、それがある時、一瞬にして終焉を迎える。彼らの目の前に現れた、まったく新しい光景。禁断の愉悦に続く道か、破滅の甘美へと流れゆく河か。累卵の如き世界に捧げる、短編集。

柔らかな頬(1999年4月)

私は子供を捨ててもいいと思ったことがある――。
衝撃のラストが議論を呼んだ直木賞受賞作。

カスミには、家出して故郷の北海道を捨てた過去がある。
だが、皮肉にも北海道で幼い娘が失踪を遂げる。
じつは夫の友人・石山に招かれた別荘で、カスミと石山は家族の目を盗み、逢引きを重ねていたのだ。

罪悪感に苦しむカスミは一人、娘を探し続ける。
四年後、元刑事の内海が再捜査を申し出るまでは――。

  • 👑第121回直木三十五賞

光源(2000年9月)

こんな奴ら見たことない!
監督、カメラマン、プロデューサー、俳優が各々の思惑と事情を抱えてぶつけ合う光の乱反射。

誰よりも強く光りたい。
元アイドルの佐和が自分を主張し始めた途端、撮影現場は大混乱。
苦り切る人気俳優、怒る監督、傷付く女性プロデューサー、佐和に惹かれるカメラマン。

金、名声、意地、義理、そして裏切り。
我執を競い合って破綻へ向かう、世にも身勝手な奴らの逆プロジェクトX物語。

玉蘭(2001年3月)

魔都上海で交錯する過去の愛と現在の恋。
大伯父の幽霊により、有子は過去と現在が交錯する世界へと導かれる。

ここではないどこかへ……。
東京の日常に疲れ果てた有子は、編集者の仕事も恋人も捨てて上海留学を選ぶ。
だが、心の空洞は埋まらない。
そんな彼女のもとに、大伯父の幽霊が現れ、有子は70年前、彼が上海で書き残した日記をひもとく。
玉蘭の香りが現在と過去を結び、有子の何かが壊れ、何かが生まれてくる……。

リアルワールド(2003年2月)

高校生の心の闇をあばく!
母親を殺してしまった少年と、彼の逃亡を手助けすることになる4人の女子高生。遊び半分のゲーム感覚で始まった事件が、やがてリアルな悲劇に集約してゆく。心の闇を抉り出す問題作。

グロテスク(2003年6月)

光り輝く、夜のあたしを見てくれ!
女たちの孤独な闘いを描いた最高傑作。

名門Q女子高に渦巻く女子高生たちの悪意と欺瞞。
「ここは嫌らしいほどの階級社会なのよ」

悪魔的な美貌を持つニンフォマニアのユリコ、競争心をむき出しにし、孤立する途中入学組の和恵。
ユリコの姉である“わたし”は二人を激しく憎み、陥れようとする。

圧倒的な筆致で現代女性の生を描き切った、桐野文学の金字塔。

  • 👑第31回泉鏡花文学賞

残虐記(2004年2月)

自分は少女誘拐監禁事件の被害者だったという驚くべき手記を残して、作家が消えた。黒く汚れた男の爪、饐えた臭い、含んだ水の鉄錆の味。性と暴力の気配が満ちる密室で、少女が夜毎に育てた毒の夢と男の欲望とが交錯する。誰にも明かされない真実をめぐって少女に注がれた隠微な視線、幾重にも重なり合った虚構と現実の姿を、独創的なリアリズムを駆使して描出した傑作長編。

  • 👑第17回柴田錬三郎賞

I’m sorry, mama(2004年11月)

平然と人を殺す、悪魔のような女
児童保育施設の保育士だった女性が、25歳年下の夫と焼死した。事件の裏に、ある女の影が浮かぶ。盗み、殺人、逃亡を繰り返して生きて来た女の行き着く先は…。悪の本質を問う長編。

白蛇教異端審問(2005年1月)エッセイ集

直木賞受賞直後の多忙な日々を綴った日記や書評、映画評、いわれなき中傷に対して真摯に真っ向から反論する表題作の長篇エッセイに加え5篇のショート・ストーリーも収録。
デビュー以来10年の軌跡をまとめ、小説では味わえないストレートな「桐野夏生」の魅力がぎっしりと詰まった著者初のエッセイ集。

魂萌え!(2005年4月)

夫が突然、逝ってしまった。残された妻、敏子は59歳。まだ老いてはいないと思う。だが、この先、身体も精神も衰えていく不安を、いったいどうしたらいい。しかも、真面目だった亡夫に愛人だなんて。成人した息子と娘は遺産相続で勝手を言って相談もできない。「平凡な主婦」が直面せざるを得なくなったリアルな現実。もう「妻」でも「母」でもない彼女に、未知なる第二の人生の幕が開く。

  • 👑第5回婦人公論文芸賞

The cool!桐野夏生スペシャル(2005年9月)

「桐野夏生の現在」を伝える合計25ページのカラーグラビア
ベストセラー「魂萌え!」に続く、書き下ろし小説「朋萌え!」
乱歩賞受賞前に書かれていた未発表小説「プール」初公開
マイ・ヒストリーや著作リスト、映像化小説リストなど基本情報
などなど、桐野ファンはもちろんのこと、ファン以外の方々にも覗いてほしい「クール」で楽しい一冊です。

冒険の国(2005年10月)

永井姉妹と森口兄弟は、姉と兄、妹と弟が同級生同士で、常に互いの消息を意識してきた。特に、弟の英二と妹の美浜は、強い絆で結ばれていた。が、ある日、一人が永遠に欠けた。英二が自殺したのだ。美浜は、欠落感を抱えたまま育った街に帰って来る。街はディズニーランドが建設され、急速に発展していた。そこで、美浜は兄の恵一に再会する。バブル前夜の痛々しい青春を描く文庫オリジナル。

アンボス・ムンドス(2005年10月)

人生で1度だけ思い切ったことをしたからには――。現代女性の奥底に潜む毒を描く、刺激的で挑戦的な桐野文学の方向性を示す短篇集。

不倫相手と夏休み、キューバに旅立った女性教師を待ち受けていたのは非難の嵐だった。
表題作の他、女同士の旅で始まった生々しい性体験告白大会、若い女の登場に翻弄されるホームレスの男達、など七つの短篇を収録。

メタボラ(2007年5月)

もはや僕らには、絶望すらも許されないのか……。
記憶喪失の〈僕〉と島を捨てた昭光の、行くあてのない逃避行。社会から疎外された若者たちを通じて現代の貧困を暴き出した問題作。

記憶を失った〈僕〉は、沖縄の密林で故郷を捨てた昭光と出会う。
二人は名前を変えて新たな人生を歩もうとするが、非情なヒエラルキーに支配された実社会に、安住の地は見つからない。孤独、貧困、破滅の予感。逃げろ! 何処へ?
底辺に生きる若者たちの生態を克明に描き、なお清新な余韻を残す傑作ロードノベル。

東京島(2008年5月)

清子は、暴風雨により、孤島に流れついた。夫との酔狂な世界一周クルーズの最中のこと。その後、日本の若者、謎めいた中国人が漂着する。三十一人、その全てが男だ。救出の見込みは依然なく、夫・隆も喪った。だが、たったひとりの女には違いない。求められ争われ、清子は女王の悦びに震える──。東京島と名づけられた小宇宙に産み落とされた、新たな創世記。谷崎潤一郎賞受賞作。

  • 👑第44回谷崎潤一郎賞

女神記(2008年11月)

遙か南の島、代々続く巫女の家に生まれた姉妹。大巫女となり、跡継ぎの娘を産む使命の姉、陰を背負う宿命の妹。禁忌を破り恋に落ちた妹は、男と二人、けして入ってはならない北の聖地に足を踏み入れた。

  • 第19回紫式部文学賞

IN(2009年5月)

愛の極みは憎しみなのか。恋愛の涯(はて)にあるものは。
恋愛関係にあった男と形の上では別れたが、愛憎の感情はいつまでも心の奥でざわめく。作家のタマキは恋愛における抹殺を小説のテーマとし、取材を進めるが、最後に見たものとは。

ナニカアル(2010年2月)

昭和十七年、林芙美子は偽装病院船で南方へ向かった。陸軍の嘱託として文章で戦意高揚に努めよ、という命を受けて、ようやく辿り着いたボルネオ島で、新聞記者・斎藤謙太郎と再会する。年下の愛人との逢瀬に心を熱くする芙美子。だが、ここは楽園などではなかった―。戦争に翻弄される女流作家の生を狂おしく描く、桐野夏生の代表作。島清恋愛文学賞、読売文学賞受賞。

  • 👑第17回島清恋愛文学賞
  • 👑第62回読売文学賞

優しいおとな(2010年9月)

福祉システムが破綻した日本。スラム化したかつての繁華街〈シブヤ〉の野宿者・イオンは、闇を根城にする若者たちと出会い、アンダーグラウンドに足を踏み入れる。NGO「ストリートチルドレンを助ける会」、女性ホームレス集団「マムズ」……彼の「優しいおとな」はどこにいるのか。桐野夏生が描く、希望なき世界のその先とは。

ポリティコン(2011年2月)

充たされぬ魂の行き先は、破滅か、新天地か?
芸術家たちの理想郷「唯腕村」を舞台に繰り広げられる、絶望郷のごとき愛憎劇!

理想社会の実現を目指し、東北の寒村に建設された唯腕村は、もはや時代遅れとなったユートピア思想の残滓である。村の人間関係に倦み、強烈に女を求める青年・高浪東一は、謎の男と村に流れ着いた美少女・マヤを我がものにしようともがき、自らの運命を狂わせてゆく。
ユートピア思想の崩壊、性の乱れ、高齢化――様々な問題を抱えた村は、徐々に綻びを見せていき……。

緑の毒(2011年8月)

妻あり子なし、39歳、開業医。趣味、ヴィンテージ・スニーカー。連続レイプ犯。水曜の夜ごと川辺は暗い衝動に突き動かされる。救急救命医と浮気する妻に対する嫉妬。邪悪な心が、無関心に付け込む時――。

ハピネス(2013年2月)

三十三歳の岩見有紗は、東京の湾岸地区にそびえ立つタワーマンションに、三歳二カ月の娘と暮らしている。結婚前からの憧れのタワマンだ。
おしゃれなママたちのグループにも入った。そのリーダー的な存在は、才色兼備の元キャビンアテンダントで、夫は一流出版社に勤めるいぶママ。
他に、同じく一流会社に勤める夫を持つ真恋ママ、芽玖ママ。その三人とも分譲の部屋。しかし有紗は賃貸。そしてもう一人、駅前の普通のマンションに住む美雨ママ。
彼女は垢抜けない格好をしているが、顔やスタイルがいいのでいぶママに気に入られたようだ。
ある日の集まりの後、有紗は美雨ママに飲みに行こうと誘われる。有紗はほかのママたちのことが気になるが、美雨ママは、あっちはあっちで遊んでいる、自分たちはただの公園要員だと言われる。
有紗は、みんなには夫は海外勤務と話しているが、隠していることがいくつもあった。
そして、美雨ママは、有紗がのけぞるような衝撃の告白をするのだった……。
「VERY」大好評連載に、新たな衝撃の結 末を大幅加筆!

だから荒野(2013年10月)

46歳の誕生日、夫と2人の息子と暮らす主婦・朋美は、自分を軽んじる、身勝手な家族と決別。夫の愛車で高速道路をひた走る。家出した妻より、車とゴルフバッグが気になる夫をよそに、朋美はかつてない解放感を味わうが…。家族という荒野を生きる孤独と希望を描いて、新聞連載時大反響を呼んだ話題作の文庫化。

夜また夜の深い夜(2014年10月)

友達に本当の名前を言っちゃだめ。マイコにそう厳命する母は整形を繰り返す秘密主義者。母娘はアジアやヨーロッパの都市を転々とし、四年前からナポリのスラムに住む。国籍もIDもなく、父の名前も自分のルーツもわからないマイコは、難民キャンプ育ちの七海さん宛に、初めて本名を明かして手紙を書き始めた。疾走感溢れる現代サバイバル小説。

奴隷小説(2015年1月)

どこにも、逃げられないよ──。

長老との結婚を拒絶する女は舌を抜かれてしまう、という掟のある村で、ある少女が結婚相手として選ばれる「雀」。
ある日突然、武装集団によって、泥に囲まれた島に拉致された女子高生たちを描いた「泥」。
アイドルを目指す「夢の奴隷」である少女。彼女の「神様」の意外な姿とは?(「神様男」)。
管理所に収容された人々は「山羊の群れ」と呼ばれ、理不尽で過酷な労働に従事し、時に動物より躊躇なく殺される。死と紙一重の鐘突き番にさせられた少年の運命は?(「山羊の目は空を青く映すか」)……など。

時代や場所にかかわらず、人間社会に現れる、さまざまな抑圧と奴隷状態。
それは「かつて」の「遠い場所」ではなく、「いま」「ここ」で起きている。
あなたもすでに、現代というディストピアの奴隷なのかもしれない――。
様々な囚われの姿を容赦なく描いた七つの物語。
桐野夏生の想像力と感応力が炸裂した異色短編集。

抱く女(2015年6月)

「どんなに冴えない男だって、自分の下に女がいると思ってるから、威張ってるんだよ」
1972年、東京。大学生・直子はどう生きる?

女は男の従属物じゃない──。 1972年、東京、吉祥寺。ジャズ喫茶でアルバイトをする三浦直子は、傷つけられ、社会へ憤りながら、同時に新左翼とウーマンリブの現状にも疑問を抱いていた。閉塞感の中、不意に出会ったドラマー志望の男との恋にのめり込んでゆく……。泡のごとき友情。胸に深く刻んだ死。彷徨する魂の行方。まだ何者でもなかった頃のあなたに捧ぐ、永遠の青春小説。

バラカ(2016年3月)

出版社勤務の沙羅は40歳を過ぎ、かつて妊娠中絶した相手の川島と再会。それ以来、子供が欲しくてたまらなくなってしまった。非合法のベビー・スークの存在を聞きつけ、友人・優子とドバイを訪ねた。そこで、少女「バラカ」を養女にしたが、全く懐いてくれない。さらに川島と出来婚をしていたが、夫との関係にも悩んでいた。そんな折、マグニチュード9の大地震が発生。各々の運命は大きく動き出す。

猿の見る夢(2016年8月)

現在の薄井の楽しみは、十年来の愛人しかなかった。それなのに逢い引きに急ぐところを会長に呼び止められ、社長のきなくさいセクハラ問題を耳打ちされる。家に帰れば、妻が占い師を知らぬ間に連れ込んでいる。女のマンションで機嫌をとって朝帰りすれば、妹から電話で母が亡くなったと知らされた。「なぜみんな俺を辛い立場に立たせる?」欲深い59歳の男はついにある一線を越えてしまう。もっとも過激な「定年小説」!

夜の谷を行く(2017年3月)

女たちが夢見た「革命」とは?
連合赤軍事件をめぐるもう一つの真実に光をあてた傑作長篇。

山岳ベースで行われた連合赤軍の「総括」と称する凄惨なリンチにより、十二人の仲間が次々に死んだ。
アジトから逃げ出し、警察に逮捕されたメンバーの西田啓子は五年間の服役を終え、人目を忍んで慎ましく暮らしていた。
しかし、ある日突然、元同志の熊谷から連絡が入り、決別したはずの過去に直面させられる。

デンジャラス(2017年6月)

美しい妻は絶対的な存在。楚々とした義妹は代表作の原点。そして義息の若い嫁は、新たな刺激を与えてくれる……。大作家をとりまく魅惑的な三人の女たち。嫉妬と葛藤が渦巻くなか、翻弄される男の目に映っているものは――。文豪「谷崎潤一郎」を題材に、桐野夏生が織りなす物語世界から炙り出される人間たちの「業」と「欲」。

路上のX(2018年2月)

一家離散によって幸せな生活を失った女子高生の真由。義父の虐待から逃れ、街で身を売るリオナ。二人は運命的に出会い、共に生きる決意をする。ネグレクト、DV、レイプ。最悪の暴力と格闘する少女たちの連帯と肉声を物語に結実させた傑作が、遂に文庫化。

ロンリネス(2018年6月)

東京湾岸のタワマンに暮らす岩見有紗は、夫とのトラブルを乗り越えたかに見えたが再びぎくしゃくしている。そんななか、同じマンションに住む高梨と急接近し、ママ友でW不倫中の美雨ママに相談をするうちに、有紗は高梨に強く惹かれていることに気づく――

とめどなく囁く(2019年3月)

一番近くにいるのに
誰よりも遠い。
海釣りに出たまま、二度と帰らなかった夫。
8年後、その姿が目撃される。そして、無言電話。
夫は生きていたのか。

塩崎早樹は、相模湾を望む超高級分譲地「母衣山庭園住宅」の
瀟洒な邸宅で、歳の離れた資産家の夫と暮らす。前妻を突然の病気で、
前夫を海難事故で、互いに配偶者を亡くした者同士の再婚生活には、
悔恨と愛情が入り混じる。そんなある日、早樹の携帯が鳴った。
もう縁遠くなったはずの、前夫の母親からだった。
ささやきの音源はどこにある

日没(2020年9月)

小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。出頭先に向かった彼女は、断崖に建つ海辺の療養所へと収容される。「社会に適応した小説」を書けと命ずる所長。終わりの見えない軟禁の悪夢。「更生」との孤独な闘いの行く末は――。

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