【おすすめ】野間文芸新人賞受賞全作品を一覧であらすじを紹介します

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野間文芸新人賞は、純文学の新人に与えられる文学賞です。三島由紀夫賞、芥川賞と共に純文学作家の登竜門となっており、三つの賞をすべて受賞すると「三冠」と称されることもあります。

初期は村上龍など芥川賞受賞経験者に授賞することがありました。しかし、次第に芥川賞受賞者はノミネートされなくなり、新人を対象とする芥川賞よりさらに駆け出しの作家に与えられる賞という傾向が強まっています。

芥川賞は文芸誌(雑誌)に掲載されたものから候補作品が選ばれますが、野間文芸新人賞は書き下ろしの単行本も選考の対象となります。実際に村上春樹の『羊をめぐる冒険』などは雑誌掲載を経ることなく、野間文芸新人賞を受賞しています。

おすすめ作品ランキング

長い記事なので、先におすすめランキングを紹介します!

作品年表リスト

第1回(1979年)津島佑子『光の領分

夫との別居に始まり、離婚に至る若い女と稚い娘の1年間。寄りつかない夫、男との性の夢、娘の不調、出会い頭の情事。夫のいない若い女親のゆれ動き、融け出すような不安を、“短篇連作”という新しい創作上の方法を精妙に駆使し、第1回野間文芸新人賞を受賞した津島佑子の初期代表作。

第2回(1980年)立松和平『遠雷

第3回(1981年)村上龍『コインロッカー・ベイビーズ

1972年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。母親を探して九州の孤島から消えたハシを追い、東京へとやって来たキクは、鰐のガリバーと暮らすアネモネに出会う。キクは小笠原の深海に眠るダチュラの力で街を破壊し、絶対の解放を希求する。毒薬のようで清々(すがすが)しい衝撃の現代文学の傑作が新装版に!

第3回(1981年)宮内勝典『金色の象

  • 候補作:増田みず子
  • 中沢けい

第4回(1982年)村上春樹『羊をめぐる冒険

1通の手紙から羊をめぐる冒険が始まった 消印は1978年5月――北海道発

あなたのことは今でも好きよ、という言葉を残して妻が出て行った。その後広告コピーの仕事を通して、耳専門のモデルをしている21歳の女性が新しいガール・フレンドとなった。北海道に渡ったらしい<鼠>の手紙から、ある日羊をめぐる冒険行が始まる。新しい文学の扉をひらいた村上春樹の代表作長編。

第5回(1983年)尾辻克彦『雪野

第6回(1984年)青野聰『女からの声

壊れかけている自分への痛切な思いを抱えて生きる〈ぼく〉。真実の絆を追って遍歴する妻の〈ナホミ〉。それぞれに性愛の相手を求め、さまよいつづける。ニューヨーク、小笠原、東京、ネパール、アフガニスタン……と孤独な旅は続く。芥川賞作家・青野聰が、根元的な生の実現を求める人間たちの魂の彷徨を、濃密な文体で綴った長編小説。

第6回(1984年)島田雅彦『夢遊王国のための音楽

第7回(1985年)中沢けい『水平線上にて

《海は暗く深い女たちの血にみちている。私は身体の一部として海を感じている。……》 年上の男子生徒とのセックスの体験を鋭利な感覚で捉えて、身体の芯が震える程の鮮烈な感銘を与えた秀作。作家の出発を告げた群像新人賞受賞「海を感じる時」と、大学生となった、その後の性意識と体験を描き深めた野間文芸新人賞「水平線上にて」。力作2篇収録。

第7回(1985年)増田みず子『自由時間

第8回(1986年)岩阪恵子『ミモザの林を

第8回(1986年)干刈あがた『しずかにわたすこがねのゆびわ

第9回(1987年)新井満『ヴェクサシオン

第10回(1988年)吉目木晴彦『ルイジアナ杭打ち

父親の仕事の都合でルイジアナ州バトンルージュで暮らす日々を、両親や周囲の人々、風物を、少年の目を通して書きとめた新しい形式の短編集。深南部(ディープ・サウス)に住む異邦人としての非適応感覚を、クールに、しかもユーモアも交えて捉えた意欲作。野間文芸新人賞受賞の表題作に、群像新人賞の「ジパング」を併録。

第11回(1989年)伊井直行『さして重要でない一日

未知の空間、会社という迷路を彷徨う主人公。トラブル、時間、おしゃべり、女の子、コピー機。著者独特の上品なユーモアの漂う、なにか、もの哀しくも爽やかな空気の残像。会社員の日常を鮮やかに切り取った、野間文芸新人賞受賞作。サラリーマンの恋と噂と人間関係、奇妙で虚しくて、それでも魅力的な「星の見えない夜」も所収。

第12回(1990年)佐伯一麦『ショート・サーキット

若くして父となったかれは生活のため配電工となった。都市生活者の現実に直面するうち3人の子供の父となり、妻はすでに子供たちのものになってしまった。今日も短絡事故(ショート・サーキット)が起こり、現場にかけつける――。野間文芸新人賞受賞の表題作に、海燕新人文学賞受賞のデビュー作「木を接ぐ」をはじめ、働くということ、生きるということをつきつめた瑞々しい初期作品5篇を収録。

第13回(1991年)笙野頼子『なにもしてない

野間文芸新人賞受賞作「なにもしてない」、三島賞受賞作「二百回忌」、芥川賞受賞作「タイムスリップ・コンビナート」を収録。未だ破られざるその「記録」を超え、限りなく変容する作家の「栄光」の軌跡。

第14回(1992年)リービ英雄『星条旗の聞こえない部屋

横浜の領事館で暮らす17歳のベン・アイザック。父を捨て、アメリカを捨て、新宿に向かう。1960年代末の街の喧騒を背景に、言葉、文化、制度の差を超え、人間が直接に向き合える場所を求めてさすらう柔らかな精神を描く野間文芸新人賞受賞の連作3篇。「日本人の血を一滴も持たない」アメリカ生まれの著者が、母語を離れ、日本語で書いた鮮烈なデビュー作。

第15回(1993年)奥泉光『ノヴァーリスの引用

恩師の葬儀からの帰り道、数年ぶりに再会した男たちは酒を酌み交わす。何時しか話題は、今は亡き友人に。大学図書館の屋上から墜落死した彼は自殺したのか、それとも……。終わりなき推理の連鎖が読者を迷宮へと誘う、第15回野間文芸新人賞受賞作「ノヴァーリスの引用」。 七つの社を巡る山岳清浄行に臨む五人の少年。山岳行の背後に張り巡らされた悪意と罠に、彼らは次第に追い詰められていく。極限状態におかれた少年たちの心理を緻密に描き、傑作と名高い「滝」。 高密度のミステリ世界を構築する著者の代表作二編を一冊にまとめて贈る。

第15回(1993年)保坂和志『草の上の朝食

第16回(1994年)竹野雅人『私の自叙伝前篇

第17回(1995年)佐藤洋二郎『夏至祭

廃坑の町を棄て、1人の少女を不幸にした負い目を残して都会へ出た靖雄は、過去の傷を抱え、孤独をなめるような生活を続ける。土の匂い、山の息吹に引かれるように戻った故郷は、ベッドタウンとして新たな活力と創造に満ちていた。彼もまた、再生できるのか? 人間の生命力を讃える表題作他2編を収録。

第17回(1995年)水村美苗『私小説 from left to right

第18回(1996年)角田光代『まどろむ夜のUFO

私の知らない「彼女」にジャムを作り、いそいそ出かけていく高校生の弟・タカシ。魂の前世を信じる、弟の怪しげな友人・恭一。5日おきにデートする几帳面な同級生・サダカくん。3人の奇妙な男に囲まれ、過ぎていく夏――。心の底のリアルな感覚を描き共感を呼ぶ、角田光代の作品集。野間文芸新人賞受賞作。

第18回(1996年)柳美里『フルハウス

“家を建てる”が口癖だった父は、理想の家族を夢みて、払える金もないのに、いきなり立派な家を建てた。しかし成人した娘たちも、16年前に家を出た妻も、その家に寄りつかない。そこで父はホームレス一家を家に招き、ニセモノ家族と一緒に暮らし始めるのだが……不気味な味わいの表題作は、泉鏡花文学賞を受賞。ほかに、不倫する女が体験する、不倫相手の妻の奇矯なふるまいを通して、家族の不在をコミカルにえがく「もやし」を収録。才気あふれる2短篇。

第19回(1997年)町田康『くっすん大黒

三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます―日本にパンクを実在させた町田康が文学の新世紀を切り拓き、作家としても熱狂的な支持を得た鮮烈のデビュー作、待望の文庫化。賞賛と悪罵を浴びた戦慄のデビュー作
大黒様を捨てようとして始まる日常の中の異次元世界。ユーモラスな語り口と奇妙な形で噴出する鬱勃たる感情が話題を呼び、日本文学史に衝撃的に登場した芥川賞作家の処女小説。「河原のアパラ」を併載している。第19回(1997年) 野間文芸新人賞受賞とともに第7回(1997年) Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。

第20回(1998年)藤野千夜『おしゃべり怪談

納会帰りに雀荘へ寄った4人のOLが、おしゃべりな男に包丁を突きつけられながら、延々と麻雀をする羽目に陥る表題作ほか、コミカルで、繊細で、温かく、ちょっぴり怖い4篇を収録した作品集。若者の日常に潜むいつもは見えない不安や心のほころび、性の揺れを優しくリリカルに描いた野間文芸新人賞受賞作。

第21回(1999年)阿部和重『無情の世界

現実と妄想の区別を失った男子高校生が、夜の公園で不気味な光景に遭遇した―― これは現実なのか? それとも悪夢なのか? 不穏な空気で満ちた、少年の手記。『ABC 阿部和重初期作品集』に収録。第21回野間文芸新人賞受賞作。

第21回(1999年)伊藤比呂美『ラニーニャ

離婚した「あたし」が子どもを抱えて家を出て、日本も出て、向かった先は南カリフォルニア。荒涼とした不毛の地で繁殖するユーカリの木を目にした「あたし」は……。詩人として旺盛に活躍を続ける著者による傑作小説集。芥川賞候補作2作に加えて、現代文庫版では、単行本未収録の幻の中編「スリー・りろ・ジャパニーズ」も収録。

第22回(2000年)赤坂真理『ミューズ

親に内緒でモデルの仕事をする高校生美緒は高級住宅地・成城の歯科医に恋を仕掛け、密会を重ねる。だが彼女には宗教にはまる母の施す“儀式”に失敗した過去があった――横溢するエロス、粘着する匂いと触感。裂かれた記憶と心の傷を独特の文体で描き野間新人賞を受賞した傑作。

第22回(2000年)岡崎祥久『楽天屋

この世界の迷子たち 群像新人賞作家の最新作
漂泊の魂が声を放つのだ──ここではないどこかへ!と。30過ぎ、臍(へそ)の緒つき。無為徒食のクズ男といかれた女たちのさすらい。独自のユーモアと繊細なセンスで時代の空気を映すあたらしい文学

第23回(2001年)堂垣園江『ベラクルス

生と死、そして愛。未来を獲得する男と女!メキシコオリンピックの栄華の蔭に封印された虐殺の記憶。30年後一人の女子学生と記憶を封印された男がトロカデロ広場で出会う。メキシコが舞台の壮大なロマン

第23回(2001年)清水博子『処方箋

海外赴任する友人の代わりに、その心を病んだ姉を病院へ送迎する附添いを引き受けた沖村。彼女を伴い通院するうちに、平穏な日々が歪み始める。第23回野間文芸新人賞受賞の会心作。

第24回(2002年)佐川光晴『縮んだ愛

障害児学級教員の岡田は、働いていた小学校の卒業生・牧野に出会う。自分が受け持っていた自閉症児サトシを殴った過去を持つ牧野だが、彼につきまとわれて、岡田は毎週彼と酒を飲むことになる。が、ある日牧野は突然暴漢に襲われる。物語にひそむミステリー性も話題になった、第24回野間文芸新人賞受賞作。

第24回(2002年)若合春侑『海馬の助走

第25回(2003年)島本理生『リトル・バイ・リトル

ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、母、小学校2年生の異父妹の女3人。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、二番目の父――。「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、わずかずつ輪郭を帯びてゆく青春を描いた、第25回野間文芸新人賞受賞作。

第25回(2003年)星野智幸『ファンタジスタ

【第25回野間文芸新人賞受賞作】首相公選制がしかれた近未来の日本。投票を明日に控え、かつてのサッカーのスタープレイヤーだった政治家・長田が圧倒的な支持率で最高権力者になろうとしている。人々はこの清新で危険なにおいのするカリスマに夢中だ。だが、果たしてこの選択は正しいのだろうか? わたしたちはどこへ向かっているのか? 忍び寄るファシズムの空気を濃厚に描く傑作小説集。

第26回(2004年)中村航『ぐるぐるまわるすべり台

僕は大学を辞め、塾講師をする傍ら、バンドのメンバーを募集した。<熱くてクール、馬鹿でクレバー。最高にして最低なメンバーを大募集>。そんなうたい文句に集まったちくわ好きなベースの尾崎、黄金旋律を求めるギター弾き・てつろー、板橋のジョン・ボーナムことチバ。4人の個性と人生が混じり合ったとき、「ヘルター・スケルター」は化学反応を起こして、新たなるバンドの伝説が始まる。Look Out! C/Wは、てつろーとチバのはじまりの物語「月に吠える」。

第26回(2004年)中村文則『遮光

恋人の美紀の事故死を周囲に隠しながら、彼女は今でも生きていると、その幸福を語り続ける男。彼の手元には、黒いビニールに包まれた謎の瓶があった──。それは純愛か、狂気か。喪失感と行き場のない怒りに覆われた青春を、悲しみに抵抗する「虚言癖」の青年のうちに描き、圧倒的な衝撃と賞賛を集めた野間文芸新人賞受賞作。若き芥川賞・大江健三郎賞受賞作家の初期決定的代表作。

第27回(2005年)青木淳悟『四十日と四十夜のメルヘン

配りきれないチラシが層をなす部屋で、自分だけのメルヘンを完成させようとする「わたし」。つけ始めた日記にわずか四日間の現実さえ充分に再現できていないと気付いたので……。新潮新人賞選考委員に「ピンチョンが現れた! 」と言わしめた若き異才による、読むほどに豊穣な意味を産みだす驚きの物語。綿密な考証と上質なユーモアで描く人類創世譚「クレーターのほとりで」併録。

第27回(2005年)平田俊子『二人乗り

第28回(2006年)中原昌也『名もなき孤児たちの墓

誰にも必要とされず、何のメッセージも伝えない、美しい光の点滅のような作品集。現在断筆中の奇才の代表作。野間文芸新人賞受賞

第29回(2007年)鹿島田真希『ピカルディーの三度

三島賞作家が描く〈恋愛の究極〉! 「おれは、おれの知らなかった恋愛を先生がくれると思った」――論議を呼んだ表題作「ピカルディーの三度」を含む5篇を収録した〈愛と禁忌〉の最新小説集。

第29回(2007年)西村賢太『暗渠の宿

貧困に喘ぎ、暴言をまき散らし、女性のぬくもりを求め街を彷徨えば手酷く裏切られる。屈辱にまみれた小心を、酒の力で奮い立たせても、またやり場ない怒りに身を焼かれるばかり。路上に果てた大正期の小説家・藤澤清造に熱烈に傾倒し、破滅のふちで喘ぐ男の内面を、異様な迫力で描く劇薬のような私小説二篇。デビュー作「けがれなき酒のへど」を併録した野間文芸新人賞受賞作。

第30回(2008年)津村記久子『ミュージック・ブレス・ユー!!

「音楽について考えることは将来について考えることよりずっと大事」な高校3年生のアザミ。進路は何一つ決まらない「ぐだぐだ」の日常を支えるのはパンクロックだった!野間文芸新人賞受賞の話題作が待望の文庫化!

第31回(2009年)村田沙耶香『ギンイロノウタ

極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。アニメの魔法使いみたいに杖をひと振り、押入れの暗闇に銀の星がきらめき、無数の目玉が少女を秘密の快楽へ誘う。クラスメイトにステッキが汚され、有里が憎しみの化け物と化すまでは……。少女の孤独に巣くう怪物を描く表題作と、殺意と恋愛でつむぐ女子大生の物語「ひかりのあしおと」。衝撃の2編。

第32回(2010年)円城塔『烏有此譚

灰に埋め尽くされ、僕は穴になってしまった文学界新人賞作家の最新作。
目眩がするような観念戯れ、そして世界観――。
不条理文学のさらに先を行く、新鋭の、やりすぎなまでに先端な、純文学。

第32回(2010年)柴崎友香『寝ても覚めても

謎の男・麦に出会いたちまち恋に落ちた朝子。だが彼はほどなく姿を消す。三年後、東京に引っ越した朝子は、麦に生き写しの男と出会う……そっくりだから好きになったのか? 好きになったから、そっくりに見えるのか? 運命の恋を描く野間文芸新人賞受賞作。 

第33回(2011年)本谷有希子『ぬるい毒

あの夜、同級生と思しき見知らぬ男の電話を受けた時から、私の戦いは始まった。魅力の塊のような彼は、説得力漲る嘘をつき、愉しげに人の感情を弄ぶ。自意識をずたずたにされながらも、私はやがて彼と関係を持つ。恋愛に夢中なただの女だと誤解させ続けるために。最後の最後に、私が彼を欺くその日まで──。一人の女の子の、十九歳から五年にわたる奇妙な闘争の物語。渾身の異色作。

第34回(2012年)日和聡子『螺法四千年記

第34回(2012年)山下澄人『緑のさる

群像』『文學界』で鮮烈なデビューを果たした著者による初の単行本。彼女と友達に裏切られたフリーターの「わたし」は、海に行き不思議な出来事に遭遇する。小説の可能性を追求した意欲作。平成24年度・第34回野間文芸新人賞受賞作。

第35回(2013年)いとうせいこう『想像ラジオ

深夜二時四十六分。海沿いの小さな町を見下ろす杉の木のてっぺんから、「想像」という電波を使って「あなたの想像力の中」だけで聴こえるという、ラジオ番組のオンエアを始めたDJアーク。その理由は―東日本大震災を背景に、生者と死者の新たな関係を描き出しベストセラーとなった著者代表作。 野間文芸新人賞受賞。

第36回(2014年)松波太郎『LIFE

猫木豊、31歳。脳内で「365日毎日“だらだら且ぶらぶら”できる国の王」として暮らす、ダメ男。ある日、パートナーの宝田から妊娠を告げられ、“だらだら且ぶらぶら”に未練を残しつつ、現実の生活と向き合い始める。しかし出産後、こどもの先天的障害が判明し、宝田は動揺を隠せない。いっぽう猫木は、ダメ男のくせにそんな宝田への不満を隠せない――。二人は互いに見当違いの三くだり半をつきつけ合うのだった。

第37回(2015年)滝口悠生『愛と人生

「男はつらいよ」シリーズの子役だった「私」が27年の歳月を経て、当時の話を伊豆の温泉宿で「美保純」とする。「非常に面白い戦略」─中条省平氏、「ご褒美のような幸福感のラスト」─長野まゆみ氏「大衆的な紋切り型を文学的技法として使った懐かしい雰囲気」─沼野光義氏、など絶賛され山田洋次監督も共感した、独創的“寅さん小説”。表題作の他、「かまち」「泥棒」の3作を収録。野間文芸新人賞受賞作。

第37回(2015年)古川日出男『女たち三百人の裏切りの書

あなたたち後世の人々よ。改竄された物語に、私が耐えられると思うか? 野間文芸新人賞・読売文学賞ダブル受賞作。 死して百有余年、怨霊として甦り「本もの」の宇治十帖を語り始めた紫式部。一方、海賊たちは瀬戸内に跋扈し、蝦夷の末裔は孤島で殺人術を研き、奥州の武士たちは太刀と黄金を全国に運んでいた。いくつもの物語は次第に交錯し、やがてひとつの像を結ぶ。圧倒的なスケールと幻視力で紡がれる《古川日出男版》源氏物語。

第38回(2016年)戌井昭人『のろい男―俳優・亀岡拓次

亀岡拓次、40歳。下着泥棒から火宅の作家まで、哀愁漂う男を演れば天下一。傑作シリーズ第二弾の本書では、大女優・松村夏子さんの胸を揉んだり、さっぽろテレビ塔で狙撃されたり、伊東で地元のおっちゃんたちと踊ったり、イカれたTVプロデューサーと保育園のニワトリを追いかけたり。ついに、ポルトガルの海辺の町で、郷愁の酔っぱらいになって……。

第39回(2017年)今村夏子『星の子

林ちひろは中学3年生。
病弱だった娘を救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込み、その信仰が家族の形を歪めていく。
野間文芸新人賞を受賞し本屋大賞にもノミネートされた、芥川賞作家のもうひとつの代表作。

第39回(2017年)高橋弘希『日曜日の人々(サンデー・ピープル)

「皆さん、おはようございます、日直の杏子(アンズ)です」「拒食も過食も不眠も自傷の一種だ」「僕はあなたがたを愛しているので、方法は記しません」「関東地区でパーティー希望です」「それでもお願いだから!」「俺は死にたくない!」「だってわたしはもう子供じゃないから!」人々の声は、あなたに届くでしょうか? 第39回野間文芸新人賞受賞作。

第40回(2018年)金子薫『双子は驢馬に跨がって

「アメトーーク!」読書芸人特集・光浦靖子氏紹介でブレイク! 監禁される親子、救出に向かう双子と驢馬――独自の世界観で注目を集める気鋭が描く、荒唐無稽な冒険譚。

第40回(2018年)乗代雄介『本物の読書家

書物への耽溺、言葉の探求、読むことへの畏怖。群像新人文学賞受賞作『十七八より』で瞠目のデビューを遂げた、新鋭にして究極の読書家、待望の新刊!表題作のほかに「未熟な同感者」を収録。

第41回(2019年)古谷田奈月『神前酔狂宴

新世代超弩級の才能が放つ鮮烈のパーティー文学が、明治151年の呪縛を切り裂く!
第41回野間文芸新人賞受賞作。

「ブーケトス一万、キャンドルサービス十万、完全に狂ってる! なんでみんな、結婚を披露するの」?
神社の披露宴会場で働く、浜野、梶、倉地ーー配膳スタッフとして日々披露宴の「茶番」を演じるうちに、
神社の祀る神が明治日本の軍神であることを知り……。
結婚、家族、日本という壮大な茶番を切り裂く、圧巻の衝撃作。
金と愛と日本と神が交わる、狂乱のパーティーがいま始まる!

第41回(2019年)千葉雅也『デッドライン

珊瑚礁のまわりで群れをなす魚のように、導きあう男たちが夜の底をクルーズする――。ゲイであること、思考すること、生きること。修士論文のデッドラインが迫るなか、動物になることと女性になることの線上で悩み、哲学と格闘しつつ日々を送る「僕」。気鋭の哲学者による魂を揺さぶるデビュー小説。

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